草地のほとんどが2番草収穫で今年の収穫終了となりますが、翌年の収量に影響する最終採草後の草地管理を紹介します。資材費高騰が続く中、生産コスト低減のためにも可能なことは、ぜひ取り組んでください。
1.草地の土壌サンプリング
収穫終了後の草地は、生産のために投下した肥料成分を牧草が消費し、土壌がリセットされている状態で、土壌診断の分析サンプリングの好期です。家畜ふん尿や石灰などの土改資材の散布前に土壌サンプリングしましょう。
2.土壌分析値活用
家畜ふん尿が継続的に施用されているほ場は、カリが多く供給されているので、分析値によっては成分の削減もしくは不要の可能性があります。また、増量が必要な成分についても適正な施用量を判断できます。
土壌pH矯正は、pH6.0を目標に、分析値から必要な石灰投入量を計算します。矯正が必要なら、秋のうちに石灰散布をしましょう。
3.雑草防除
最終採草後の草地は、ギシギシ類の防除好期です。ギシギシ類の本葉が3~4枚展開し、大人の手のひら大になった頃に薬剤散布しましょう(写真1)。
写真1 ギシギシ類の防除適期
秋処理でのギシギシ類防除に使用する薬剤例を表1に示します。
農薬使用について詳しくは、普及センターまでご相談ください。
表1 秋処理によるギシギシ類の防除例
4.堆肥・スラリー・尿の施用
家畜ふん尿の草地への施用効果について、道総研の試験結果を紹介します。道東のチモシー単播草地で、酪農家から排出されたたい肥・スラリー・尿の施用時期による年間乾物収量の報告です(図1)。
傾向として、家畜ふん尿の処理形態にかかわらず、前年秋の10月施用で、年間の乾物収量が高くなっています。草地へのふん尿施用は、降雪や土壌凍結等の影響がない10月末までに作業完了しましょう。
図1 ふん尿施用時期が年間乾物収量に及ぼす影響 (出典:北海道立農業試験場 根釧、天北、畜産)
尿では、5月上旬施用での乾物収量が前年の秋施用を上回る結果ですが、液状物を搭載した大型機械で生育中の1番草に踏みつけのダメージを与えてしまいます。たい肥・スラリーにおいてもやむを得ず春施用とする場合、チモシーの減収や品質低下を避けるため、5月上旬までに作業完了しましょう。
この情報は2033年8月に釧路農業改良普及センター本所地域(標茶町 弟子屈町 釧路町)の農業者向けて発出した情報です。