子牛の管理1原因に合わせた下痢対策

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子牛の管理1
原因に合わせた下痢対策  

 

 

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子牛の下痢が多発した場合、発症要因を見極め、要因に応じた対策を行うことが大切です。

 

下痢の要因

 下痢の原因は、病原微生物の感染(図1)による感染性と消化不良などによる非感染性に大別され、抵抗力が低い子牛は下痢発症の危険度が高まります。
 多くの場合は、要因が複数重なって下痢を発症しています(図2)。

 

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 図1 下痢を引き起こす病原体

 

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図2 下痢の主な要因。複数要因が関係して発症することが多い。 

 
要因別の下痢対策
1 環境の病原体を制御
 病原体を減らすための基本は清掃・乾燥・消毒による飼養環境の衛生管理です。 
 

【事例】
・ペンやハッチを頭数以上準備。同じ場所を連続使用せず、乾燥期間を設けている。
・子牛の移動時にハッチを洗車機で水洗いし、日光消毒。
・石灰乳を定期的に塗布。
 ※石灰乳は消毒薬が無効のクリプトポリジウムを物理的に封じ込む手段にもなります。 

 

2 子牛の抵抗力(免疫)向上
 初乳給与による免疫の付加が最も重要です。
 さらに、子牛のストレスを減らすことで抵抗力が高まり、病気に罹患しにくくなります。
【主な対策】
・子牛が満足するほ乳量
・暑熱対策(寒冷紗 送風機等)
・寒冷対策(敷料をたっぷり入れる ネックウォーマー等)
・ほ乳ロボット使用の場合などは負け牛の出ない群構成。
・ウシ下痢五種混合ワクチンを乾乳牛に接種する。ワクチン接種した母牛の初乳を飲むことで各種下痢症の免疫が付与される。 

 
【事例】
 施設不足のためほ乳期間中の移動が多く、ストレスから下痢が多発。そこで施設を増設し、移動を減らした結果、下痢が激減しました。 

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ウシ下痢五種ワクチンも実施しています。 

 
3 ミルクの消化不良を防ぐ
 ミルクは一定の温度、濃度で給与することが基本です。冷たすぎる、代用乳の希釈濃度が濃(薄)すぎると消化不良の原因となります。
 また、糞の状態などに異変を感じたら1回のほ乳量を減らし、回数を増やすなど消化器官に負担の少ないほ乳を行いましょう。 
 
【事例1】
 ほ乳量を6リットルへ変更後、下痢が多発したため、4リットルから段階的に6リットルまで増やす方法で、下痢をさせずに、ほ乳量を増やしています。 

 fig4.jpg

ほ乳量を増やしてから、ほ乳後すぐに寝るようになった。 

【事例2】
 下痢が多発する時期に一旦、ほ乳量を減らし、その分を電解質で補給。その後、数日かけてほ乳量を戻すことで、腸の負担が減り、重篤な下痢発症がなくなりました。 
 
 施設など今すぐ解決できない課題もあるかと思いますが、実践できることから取り組んで見てください。 

 

 

 

 

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