分娩の施設や管理について考えましょう

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分娩の施設や管理について考えましょう 

 

 

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 分娩は、親牛にとってはその乳期のスタートであり、出生仔牛にとっても一生涯のスタートです。
 しかしながら、分娩後60日以内の淘汰や仔牛の死産は、けして少なくないのが現状です。
 今回は、それらを減らすための分娩時の施設や管理について考えましょう。

 

1 分娩時に望ましい施設

(1)十分な広さがある
 仔牛の摘出場所の確保や牛同士の競合関係の軽減のため、十分な広さ(15平方メートル/頭)を確保しましょう(写真1)。

 

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写真1 十分な広さが確保された分娩施設

 

(2)寝起きがしやすい
 分娩直前は胎児の体位を整えるのに、頻繁に寝起きをします。そのため、寝起きの動作を妨げないことが重要です。

・しっかりと蹄をかけるための床面、特に冬期間は床面が凍結しやすいので、凸凹が無く、滑りにくい環境を作りましょう。牛床マットを敷き逆子が減ったという報告もあります。

・けい留する場合は、チェーンを長めにとって寝起きを妨げず、ゆったりと寝られるスペースを確保しましょう(写真2)。 

 

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 写真2 寝起きしやすく、スペースも確保されている。水槽の数も多い。

 

(3)衛生的である
 仔牛は免疫を持たずに生まれてくるため、出生場所を衛生的に管理する必要があります。

・床面への消石灰の散布

・20cm程の厚さの敷きわらを入れ乾いた環境をつくる。

・尿溝は一時的に蓋をする。

・除ふんや敷料の投入が容易に行える作業性の確保

(4)観察が容易に行える
 難産、逆子など、分娩進行中に気付けると防げる死産もあります。
 分娩に立ち会えるよう日常の作業動線の中に分娩場所を設けたり、最近は分娩監視カメラや分娩兆候を発信する機器を導入する農場が増えています。
 夜間の観察については、農場内で役割分担をしましょう。 

 
2 分娩房への移動タイミング

 最近の研究では、分娩予定日の9から2日前までの移動は分娩後の調子が悪くなることがわかってきました。その時期を外した移動を心がけましょう。
 また、急激な飼養環境の変化もストレスとなります。分娩10日程前から予め環境に慣らすか、分娩兆候が見られたら、同じ群内の分娩スペースに移動させ、ません棒などで仕切って分娩させること等を検討しましょう。

 

〈事例〉 
 乾乳後期群の中に出入り自由な目隠しスペースを作り、分娩時には自らそこを選び分娩を迎える飼養方法も出てきています。移動や環境変化のストレスが軽減されます。 

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 写真3 乾乳後期群に設置されたブラインド式の分娩房

 

 分娩時の施設整備と適切な管理により、良いスタートを切りましょう。 

 

 

 

 

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