ほ場を確認し早めの対応で粗飼料の確保をしましょう
昨年(平成29年12月25日)の降雨とその後の低温により草地の至る所でアイスシートが発生しました。その後の降雪も少なく、土壌凍結は平年を15~20センチメートル上回って推移しました。
牧草の冬枯れが懸念されますので融雪時にすべての草地を見回り冬枯れの有無を確認しましょう。また、滞水がある部分には速やかに排水対策を行いましょう。
冬枯れの種類
牧草の冬枯れには大きく分けて4種類あります。
(1) 地中内の水分の凍上による断根や霜柱で根が浮かされ枯死する凍上害
(2) 低温にさらされ、茎冠部や根が枯れる凍害
(3) 滞水が凍結して嫌気(窒息)状になり湿害同様に牧草が枯れるアイスシート害
(4) 積雪前に牧草体に降雨、強風のストレスがかかり、積雪で保温され菌核病菌に越冬芽が腐死する雪腐病
に大別されます。
冬枯れの分類(草地研究会報1988、小松氏図一部改変)
融雪後の確認について
新播草地と経年草地では越冬後の牧草の状態が違いますので畑で状況を確認しましょう。
1 新播草地の場合
新播草地の牧草の葉は越冬後も緑色をしています。
褐色であっても、茎根元を割ってみて中が緑色であれば問題ありません。
新播冬枯れ判断フローチャート
下の写真のように牧草が茹でたように、地面に張り付き黒いネズミの糞状の雪腐大粒菌核がついていると、越冬性に優れるチモシーでも枯死に至ります。
対応策としては牧草の追播をすることになりますが、目安としては生存が、500個体/平方メートル(5個体/10平方センチメートル)を下回ったら追播を行いましょう。
雪腐黒色大粒菌核の罹病
2 経年草地の場合
経年草地の場合、融雪直後は枯れ草に覆われています。アイスシート害などの凍害を確認するには手で引っ張り、すっぽり根から抜けてしまう牧草は被害を受けています。
アイスシート害枯死ほ場
被害牧草の確認
追播について
新播草地で被害を受けて個体数の少ない場合や、経年草地でパッチ状に枯れている所ではディスク、ロータリで表層を撹拌し、ブロードキャスタ、もしくは追播機で播種しましょう。播種量はチモシーで1.8kg/10a、クローバーは 0.2kg/10aを目安に播種してください。
また、新播草地で霜柱などで持ち上げられた根浮きのほ場については、根が乾燥しないうちにローラーで鎮圧しましょう。
未被害のほ場は萌芽期(4月下旬)からの早めの施肥で株を充実させ、収量向上を目指しましょう。