糞から分かること

キャプション

糞から分かること

 

 

キャプション
 日々の飼養管理の中で、牛の変化に気を配ることは酪農家にとって大切な仕事です。変化の一つに、「バンカーが切り替わってから糞がゆるくなった」という話を聞くことがあります。
今回は、糞の状態から分かることを、糞を洗って調査した結果から考えてみたいと思います。
 
1 糞を洗う方法

 今回、糞洗いに用いたのはアメリカ・NASCO社が販売している「ダイジェスションアナライザー(以下、糞洗い機)」です。糞洗い機は網目の大きさが違う三段のふるい構造になっており、搾乳頭数の10%から採取した糞を上段に乗せシャワー洗いし、各段に残った未消化物から消化状況を判断します(写真1)。

 

photo1.jpg

写真1 糞洗い機を用いた糞洗いの様子

 

2 糞洗い結果から分かること  

(1)各段の内容物を見た目で評価
 糞洗い機の上段には未消化の繊維・穀類・ムチン、中段にはまだ消化余地のある繊維・穀類、下段には十分消化された内容物が残ります。
 ムチンとは、ルーメンで消化されなかった穀類が大腸で過剰発酵した際に分泌される粘液で、糞中には管状の粘膜として出てきます(写真2)。ムチンが見られる場合は、大腸が損傷した証拠なので、給与飼料の見直しなど早急な対応が必要です。

 

 photo2.jpg

 写真2 赤枠内に見られる管状のものがムチン

 
(2)各段の重さ割合で評価
 各段に残った未消化物の重さ割合から消化状況を判断します(写真3)。各段の目標値は上段10%未満、中段20%未満、下段50%以上とされ、、上・中段割合が高く、下段割合が低いほど消化不良と考えられます。 
 

photo3.jpg 

 写真3 各段に残る未消化物の重さ割合で消化状況を判断
(写真は消化状況の良い結果)

 
 また、上・中段に穀類の大きな粒子や過剰な粗飼料が残る場合は、ルーメンアシドーシスの可能性が考えられます。その要因としては、濃厚飼料の過給、とうもろこし子実の破砕不足、サイレージの切断不足などが挙げられます。 

 

3 現地事例調査   
 A農場は台風による倒伏を避けるため、サイレージ用とうもろこしの収穫を早め、クラッシャーを開放状態で収穫しました。
 このサイレージを開封したところ、破砕されていないコーンの子実が多く見られたので、消化状況を確認しました。その結果、破砕されていない子実は消化されずにそのまま糞中に出てきていました(写真4)。
 コーン収穫時には、子実の破砕具合を確認しながらクラッシャーの設定を調整することが必要です。
 

photo4.jpg

 写真4 未破砕の子実は消化されずに糞に排出される

 
 糞洗いの結果を紹介しましたが、糞から牛の状態全てがわかる訳ではありません。牛の状態を判断する方法の一つととらえ、除糞の際などに糞の状態を気にかけてみてください。 

 

 

 

 

キャプション

トップへ   

 

メニューへ

 

 

カテゴリー

cc-by

page top