ギシギシの防除について
釧路管内でよく見られる牧草地の雑草の1つがギシギシです。
ギシギシの防除が可能な雑草で、選択できる除草剤はアージラン液剤(以下アージラン)とハーモニーです。
今回はそれぞれの除草剤の特徴と、使い分けについて説明します。
アージランとハーモニーの特徴を表1に示しました。
どちらを使うかは、除草剤の特徴に基づき、ほ場の状況(新播かどうか、クローバがあるかどうか)と散布時期によって選択します。
アージランは春に散布できるのが特徴ですが、イネ科牧草の生育停滞が見られることがあります。特に夏の散布は避けましょう。
ギシギシへの効果が大きい(枯死が早い)のはハーモニーですが、クローバへの薬害が著しいという特徴があります。
ハーモニーを散布するとアカクローバは枯死し、シロクローバは黄化して減少します(写真1、2)。
写真1 ハーモニー散布後のアカクローバの枯死(11月16日撮影)
写真2 ハーモニー散布後のシロクローバの黄化(11月16日撮影)
除草剤の使い分けとしては、春散布やクローバ混播草地にはアージランを、夏散布や夏新播草地への秋散布にはハーモニーを使います。
一方、チモシーの生育停滞を避けたい、またはギシギシを当年に防除したいという場合には、シロクローバ混播草地にハーモニーを(なくなるリスクを踏まえて)使うという選択肢もあると考えられます。
事例紹介
標茶町のほ場でギシギシ対策として、10月中旬にハーモニーをチモシー・シロクローバ混播草地に散布した結果、ギシギシは一部残ったものの、大幅に減少しました。シロクローバへの薬害が懸念されましたが、翌年5月下旬にはシロクローバが残っている様子が確認できました(写真3、4)。
写真3 ハーモニー散布前のほ場の様子(10月5日撮影)
写真4 ハーモニー散布翌年のほ場の様子(5月31日撮影)