ペレニアルライグラス(PR)について
近年、釧路管内では採草地や放牧地にペレニアルライグラス(PR)をは種する事例が増えています。また、草地更新の際にオーチャードグラスと混播し、年3回収穫する農家も出てきました。
しかし、は種をしても冬枯れがひどく、なかなか定着しないなどリスクもあります。
そこでペレニアルライグラス導入に向け、その特徴と留意点について紹介します。
写真1 PRは葉に光沢があり、草丈は出穂始めで50~60cmになる
イネ科の多年生牧草
1 PRの特徴
PRは再生力に優れ、競合力があります。特に秋の生育が良く、放牧利用にも適しています。また、糖含量が高くし好性は良好、消化性にも優れています。
しかし耐寒性が低いため、土壌凍結地帯である釧路管内では、越冬性が課題となっています(表1)。
表1 PRの特徴と他草種との比較
2 PR栽培における留意点
PRが良好に越冬するためには、越冬前に、
- 草丈10cm以上、
- 分げつ茎が3~4本まで生長している、
必要があります(イネ科牧草全般も同様)。この条件を満たすため釧路中西部地域は、8月中旬までには種を行う必要があります。
3 播種が遅れた場合・・・
もし8月中旬までには種ができない場合の対応として、フロストシーディング(以下FS)があります。FSとは、日平均気温が5度を下回る11月中旬以降から、根雪前までの土壌凍結始めには種し、種子のまま越冬させ、翌春の融雪直後に発芽・定着させる方法です。
慣行は種に比べて発芽後の個体数がやや劣る傾向にあるので、は種量は慣行より3割程度増やします。PRの追播ならば2.6 kg/10aになります。
FSはあくまでも最終手段です。できるだけ、8月中旬までには種するよう心がけましょう。
写真2 FSでの発芽
4 事例紹介
釧路管内M農場は、糖含量の高さと、シバムギの抑圧に期待し、3回刈り体系であったオーチャードグラス主体草地に、混播する形でPRを導入しました。結果、シバムギは制圧されました。また、サイレージの発酵品質と栄養価が向上し、食い込みも増加しました。その結果、乳量は1頭あたり約2kg増加しました(図1)。
一方、乾きにくいためにサイレージが調製しにくい、繊維含量が低くなるので軟便になる、などの問題もありました。
図1 PR入りラップ給与による乳量変化
5 終わりに
PRの利用方法については、まだ課題が残っていますが、活用できればとても魅力的な牧草です。導入する際は、普及センターにご相談ください。