暑熱時の蹄管理と観察のポイント
蹄冠部の腫れに注意
蹄冠部(下図:爪の硬い部分と皮膚の境)が赤く腫れている状態は、アシドーシス状態が疑われます。暑さで粗飼料の食い込みが落ちて発生しやすくなります。
放置すると数ヶ月後に蹄底潰瘍が増加しますので暑熱対策が重要となります。
蹄と皮膚の境に注目
飼料給与面の暑熱対策
- 乳量低下アシドーシス状態の時は、圧ぺんコーンなどのデンプン源を減らす。
- 安易に濃厚飼料を減らさない。
(ルーメンでの発酵熱は粗飼料が最も大きいため、安易に濃厚飼料を減らして粗飼料を増やすと、より体温を上げて採食量が低下し、尚かつエネルギー不足となります。)
- 水槽を清潔に保ち、飲水量を確保する。
- 重曹(バッファー)、ミネラル類を増給する。
- 最もし好性が良い、早刈りのサイレージを暑熱時に給与できるように、サイロの開封順序を工夫する。
- 水平サイロからのサイレージ取り出しは、取り出し面を垂直に保ち、二次発酵を防ぐ。
ヒールレスを予防しよう
蹄冠部の腫れ(蹄葉炎)を放置すると、後ろ脚が徐々に「かかと」重心となり、物理的にも蹄底潰瘍を助長します。
「かかと」重心はPDD(趾皮膚炎)などの痛みを放置すること、長期間削蹄しないことでも助長されます。また、「かかと」重心は、よりPDD・趾間腐爛に感染しやすい状態であり、蹄病の悪循環に陥ります。
予防策
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給与飼料見直し
(デンプン濃度を下げる) - 定期的な削蹄
- 削蹄時は「かかと」の外側を削りすぎない(内側の土踏まずは大胆に削って良い)で蹄尖角度を50~52度に立たせる
- 夏場は爪が柔らかくなるため、より削りすぎに注意
- PDDの予防は、蹄を清潔に保つことが最も重要
- 汚れた蹄浴槽による消毒はPDDを予防できないどころか、蔓延させる原因
- 百頭程度の通過が蹄浴槽交換の目安