搾乳ロボットの導入

省力化技術パート1~搾乳ロボットの導入~

 北海道酪農では、労働負担を軽減する省力化機械の導入が進んでいます。中でも、搾乳ロボットの導入戸数は191戸(平成29年度)で、全道酪農戸数の3%です。「畜産クラスター事業」において、搾乳ロボットが事業対象になったことから、今後も導入する酪農家が増えると考えられます。

 

1 搾乳ロボットの導入状況

 全道の平成23年時点の搾乳方式は、パイプラインミルカー方式が6割を占め(表1)、導入後も既存の搾乳方式を併用している農家が6割以上あります(表2)。つまり、導入農家の6割は、搾乳ロボットで搾乳を行う一方、つなぎ式牛舎でも搾乳を継続しています。搾乳ロボット導入は、省力化だけではなく搾乳頭数の増頭が目的であると考えられます。

 

          表1 導入前の搾乳方式

 

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                             (平成23年度調査開始時)

 

表2 導入後の搾乳方式

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            (表1、2は釧路総合振興局農務課より提供)

 

 

2 事例:搾乳ロボット農家の作業内容

 ここでは、作業の省力化を第一に追求した事例を紹介します。

 釧路管内A農場は、平成29年につなぎ式牛舎での搾乳を中止し、新たに搾乳ロボットで搾乳を開始しました。Aさんは規模拡大に必要な従業員の確保は難しいと考え、搾乳ロボットを選択しています。

 導入前後の作業内容で一番大きな変化は搾乳作業で、牛に触れる作業が無い代わりに、パソコンで健康管理や繁殖データを確認する作業が増えたことです(表3)。経営者の作業時間は変わりませんが、妻と父親の作業時間は減少し、全体の労働時間は導入前の3分の2に減少しています(Aさん談)。

 全体の作業時間が減少した理由として、Aさんは以下を挙げています。

  1. 搾乳ロボット以外に搾乳する場所は作らず、機械に合わない牛は淘汰した。
  2. 牛の移動が一人で行えるよう乾乳牛の飼養場所を作った。
  3. エサ押しロボット導入と分娩監視カメラを設置した。
  4. 給餌はTMRセンターに直接給餌してもらう。

  表3 A農場の導入前後の作業内容

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3 搾乳ロボットの技術目標

 搾乳ロボット1台当たりの1日の搾乳可能量は2トンとされています。利益を最大限得るためには、搾乳ロボットに合った牛を揃えることが大切です。

~目標達成のための3カ条~

  1. 繁殖・健康管理データを理解し、飼養管理に活かす(パソコン管理)
  2. 搾乳ロボットに合わない牛を積極的に淘汰する(不適応牛を減らす)
  3. 搾乳ロボットに適した乳頭配置を考慮した種雄牛の選択
    (搾乳ロボットの導入に向けて(平成28年度、北海道農政部)、Aさん聞き取り結果より)

 現在、様々な飼養形態で搾乳ロボットが導入されています。導入にあたっては将来の経営安定化に向けて、十分検討して下さい。

 

 

 

 

 

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