平成30年産自給飼料の生育と分析結果より
今回は、平成30年に収穫された自給飼料の作況調査、収量調査結果や粗飼料分析値などから、傾向や使用法について考えてみたいと思います。
1 生育および収穫作業の経過
1番草
6月上旬の高温により、1番草の生育は順調に経過し、出穂始めは平年並でした。しかし、6月下旬以降の雨続きにより収穫終は平年より14日と大幅に遅れました。
2番草
1番草収穫の遅れと8月以降の天候不順により、草丈の伸びは平年より遅れ、収穫期は10日遅れました。
飼料用とうもろこし(コーン)
6月中旬からの低温により、草丈は平年よりも短く、以後、生育は緩慢となりました。8月の天候不順は、登熟や収穫作業にも影響し、黄熟期は平年の10日遅れ、収穫始めは4日遅れとなりました。9月30日、10月7日の台風の接近により収穫作業を早めた農家も見られましたが、登熟待ちで収穫作業を遅らせた農家もおられ収穫期間が伸びました。
2 収量(表1)
- 1番草の収量は、平年の101%となりましたが乾物収量は、刈遅れにより115%となりました。
- 2番草の収量は、平年の93%、乾物収量は94%と少なくなりました。
- 1番草と2番草の合計収量は98%となりました。
サイレージ等の確保量は収穫時期によりばらつきが大きな年となりました。 - 飼料用とうもろこしの生収量は、平年の85%とかなり低くなりました。
3 栄養価(表2)
12月時点までの釧路管内の粗飼料分析値のデータから、今年の傾向を見てみましょう。
- 1番草
収穫期は平年の8日遅れでしたが、TDN、CPは、平成29年と比較してほぼ同じでした。 一方、NDFは昨年より3ポイント高くなりました。既に給与している農場からは、「発酵品質は悪くないが、収穫時期が遅れたものは、食い込みが悪く、乳量が思ったほど出ない」と言う声も聞かれています。 - 2番草
栄養価は昨年と同じ傾向でした。 - 飼料用とうもろこし(コーン)
TDN、NDFはそれぞれ平成29年対比100%と前年並でしたが、デンプン含量は2ポイント低い結果となりました。
台風接近のために収穫が早まったほ場や鹿食害にあったほ場は、デンプンが低く、登熟してから収穫したほ場では平年以上のデンプンが期待できそうです。
4 給与について
- 食い込み量の確認
1番草、2番草共に刈り遅れにより食い込みが悪い場合、糖蜜資材の活用や、ビートパルプなど消化性の高い飼料との併給や代給は、有効な方法です。また、刈り遅れたサイレージは、水分が低くカビや変敗等に注意し、品質や分析値、牛が十分に食べているかなどを確認しましょう。 コーンは状況によってデンプン率に差があるので、給与の際は、分析結果と牛の反応を確認しましょう。