放牧の準備はお早めに
札幌管区気象台発表の長期予報では、5月は平均気温・降水量ともに平年並か高く(多く)推移する見込みです。
牧草は、気温が5℃を超えると生育を開始します。放牧開始が遅れると、草の伸びすぎによる不食過繁地の増加と、放牧草の栄養価の低下を招きます。牧柵の設置・補修、馴致放牧など、余裕を持って放牧の準備を進めましょう。
1 蹄のチェック(削蹄の実施)
蹄が伸びたままだと歩行に支障をきたし、生草を十分に食べることができないほか、関節や内臓の故障につながる恐れもあります。放牧前に蹄の状態を確認し、必要に応じ削蹄しましょう。
写真1 放牧前に蹄のチェックを
2 牧区の準備
- 牧柵を設置する際にゴミ袋も用意し、空き缶など、牛に危害が及ぶものを回収しましょう。
- 柵柱・碍子(がいし)の弛みや絶縁不良、断線など脱柵の原因箇所はないか点検しましょう。また、電気牧柵の場合は、事前に通電し漏電箇所がないことを確認しましょう。
- 排水不良箇所は、排水溝を掘るなどしできるだけ早く乾燥させましょう。
- 水槽・給水配管が冬期間に破損していないか確認しましょう。
写真2 電牧は、放牧前に漏電がないことを確認しましょう。
3 放牧開始のタイミング
放牧期間中の適正な草丈は、入牧時で、ケンタッキーブルーグラスで10cm、ペレニアルライグラスで20cm、メドウフェスクで20~30cmです。しかし、春の放牧開始時はこの草丈にこだわらず、放牧地が乾き次第、馴致を兼ねて放牧を開始すると短草状態を維持しやすくなります。
4 牛の馴致
舎飼と乾草・サイレージ給与に慣れた牛にとって、急な放牧は大きなストレスとなります。昨年放牧を経験した牛は2週間、初めて放牧する牛は4週間程度、馴致期間を設け、放牧時間を1,2,4時間と徐々に延ばしながら完全な放牧管理に移行しましょう。
(1) 外気への馴致
パドックなどを利用し、日中の外気や日光に慣らしましょう。
写真3 早春の慣らし放牧
(2) 飼料の変化への対応
生草は、水分が80%以上、CP(粗蛋白質)が17%以上(乾物中)と高いので、それに対応したルーメンづくりが必要となります。
? MUNや乳蛋白質率、糞、毛つやなどをモニターして、配合飼料の号数を下げたり、エネルギー飼料の併給を検討しましょう(バルク乳のMUN目安 10~14mg/dl)。
春の農作業安全確認運動を展開中です。(3月1日~5月31日)
(この情報は、2018年5月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発信したものです。)