今年(2018年)の牧草給与について
本年の1番草は、収穫作業の遅延・長期化により、水分・品質のバラツキと低下が懸念されます。給与上の留意点をまとめましたので、参考としてください。
今年の牧草の品質を下げないために
サイレージの二次発酵を防ぐ
サイレージの二次発酵の原因は空気です。開封後、スタック・バンカーサイロの奥まで空気が侵入しないように、図1を参考に工夫しましょう。
図1 サイレージ取り出し中の重石のポイント(スタックサイロの場合)
給餌機・ミキサーの定期的な清掃
機械の隅に残った飼料は、カビや腐敗の原因になります。給与時に新鮮な飼料にカビ等が混入しないよう、給餌機・ミキサー類は清掃しましょう。
牛がもう一口食べられるように
粗飼料分析で品質・栄養成分を確認する。
今年の草は、品質・栄養成分に大きなバラツキがみられると思われます。分析で品質・栄養成分を把握し、飼料切り替え時は、急変を避け、乾物給与量の確保と栄養充足を図りましょう。
<対応例>
1 次に開封するサイレージ(サイロ)が、今の給与しているサイレージより水分が高い場合
- サイレージ切り替えは、3~7日掛け徐々に行い、牛の状態を確認する。
- 乾物摂取量の維持・確保のため
生重給与量を多くする。
乾草など水分の低い草を併給する。
2 繊維(NDFやADFなど)が高くなった場合
◎ 繊維は消化が遅いので、採食量が下がる傾向にあります。
- 消化速度のアップ=乾物摂取量の維持・確保
消化の早い粗飼料の併給
ビートパルプの給与
3 品質が芳しくない(食いつきが悪い)場合
◎ 同じサイレージやロール草の中にも、チモシーやオーチャードグラス、シバムギ等いろいろな草(=美味しい草、そうでない草)が混ざっています。
- 給餌回数と1回の給餌量を多めに給与して、牛が草を食べられるようにしましょう。
写真1 品質が芳しくない草は、多めに給与し、牛に食べられる草を選ばせる。
掃き寄せと飼槽の掃除
- 牛の口元に飼料があるよう、掃き寄せを行いましょう。
- 長時間、エサが届かない位置にあると、牛は採食を諦めてしまいます。最低でも、給餌後、搾乳前後の6回/日以上は、行いましょう。
(掃き寄せロボットの場合は7~8回/日に設定) - 変敗した飼料の臭いは食欲減退につながります。1日に最低1回は飼槽を掃除し、残飼を取り除きましょう。
写真2 牛の口元に草を
ロール草の細断
ロール給与の場合、強い牛が隣の牛の草まで引っぱったり、牛床に巻き込んだりしていませんか。草を細断すると、このようなことが軽減されるので、結果的に牛の口に入る草が増えます。
ロールカッター等細断する手段がある場合は、細断しましょう。
写真3 ロールカッターで草を細断
「声かけあって安全確認」 秋の全国農作業安全確認運動が始まりました(9月1日~10月31日)
(この情報は、2018年9月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発信したものです。)