牛からのサインを読み取る 2 ~ルーメンフィルスコア~
1月号に引き続き、乳牛の健康状態のモニタリング方法を紹介します。今回はルーメンフィルスコアです。そのモニタリング方法と意味について、今一度確認しましょう。
1 ルーメンフィルスコア(RFS)とは
ルーメンフィルスコアは、牛のルーメン(第1胃)の充満度を5段階で表したものです。
乾物摂取量の充足や飼料の通過速度を判断する指標となります。おおよそ、給与後2~6時間の乾物摂取量が反映されます。スコアが高いほど乾物摂取量が多いことを示しています。
2 ルーメンフィルスコア(RFS)の計測方法
ルーメンフィルスコアの計測方法は、牛の左側から見て(1)肋骨、(2)脊椎の横突起、(3)腰骨に囲まれた部分の張りや凹み具合から判断します(写真1)。
各スコアは表1のとおりになります。
表1 RFSの判定方法
3 ルーメンフィルスコア(RFS)の活用方法
ケース1 「スコア2以下の牛がいる。」
→牛群全体的にルーメンフィルスコアが低い場合
- 粗飼料の給与が足りないかもしれません。給与量を確認しましょう。
いつもと同じ量を給与していても、草の水分が上がると乾物摂取量が足りなくなる場合があります(表2)。
表2 草の給与量と水分(乾物10kgを給与した場合)
草の水分 | 80% | 70% |
現物の量 | 50kg | 33kg |
- 草の食いつきが悪いときは、ビートパルプやルーサンヘイなど嗜好性の高い中間飼料の併給や糖蜜飼料の利用を検討しましょう。
→牛群内の数頭のみルーメンフィルスコアが低い場合
- 蹄が痛くて飼槽まで来れない状態や産後の体調不良などが考えられます。牛の状態を確認しましょう。
ケース2 「時間帯によって1ポイント以上差がでる。」
→常時牛の前に飼料があるようにしましょう。
- 常に牛の口が届く範囲に飼料があるように、エサ寄せの回数を検討しましょう。
- 牛は、1回の採食行動で採食に20~30分、休息に1時間、反芻に1.5~2時間の時間をかけるので、給与後2~3時間後には1度エサ寄せすると良いと思われます。
ケース3 「同一牛群にスコアの高い牛と低い牛がいる。」
→食い負けている牛はいませんか?
- 飼槽全体に均一に粗飼料を配りましょう。
- 密飼いになっていないか確認しましょう。
- エサ寄せの回数を増やして、食い負けしている牛が食べるチャンスを増やしましょう。
給与してから約20分後、強い牛が休息しているタイミングでエサ寄せを行いましょう。
声の掛け合い 家族へ気遣い いつも心に安全作業
- (この情報は、2019年2月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発信したものです。)