エゾシカによる食害 ~調査結果と対策事例~
エゾシカによる牧草食害が各地で発生しており、牧草収量低下の大きな原因となっています。
今回は、食害調査結果と対策事例について紹介します。
1 意識調査
はじめに現状把握のため、JAくしろ丹頂にご協力いただき、鶴居村の農業者の方にエゾシカ食害への意識調査を実施しました(回答率約50%)。
調査の結果、ほとんどの方が「最近牧草食害が増えている」と実感していることがわかりました(図1)。また、約80%の方が「牧草食害に困っている」と答えており(図2)、食害が村全域に広がっている様子が伺えました。
図1 意識調査結果1(n=41)
図2 意識調査結果2(n=41)
2 具体的な食害状況
平成29年にA農場の草地に食害を防ぐ1平米の防護柵を設置し、柵内と柵外の収量調査を行いました(写真1)。その結果、1番草で1.3t/10a(約40%)の食害が認められました(図3)。
写真1 防護柵と収量調査
図3 収量調査結果
3 対策事例(電気柵)
鶴居村のB農場では、電気柵導入意思決定支援シート(表1)を用いた試算結果から、電気柵の導入を決めました。
平成30年は、新播草地2ほ場17㏊に電気柵を設置しました(写真2)。収量調査の結果、1番草は鶴居村平均収量に対して44%多く収穫できました(図4)。
表1 電気柵導入意思決定支援シート
写真2 電気柵設置作業
図4 1番草収量比較
4 最後に
新播草地に設置するだけでも効果が認められたので、電気柵の導入を考えてみませんか?
食害対策をご検討の際は、普及センターまでご相談を!
この情報は、2019年4月に中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。