暑い夏を乗り切る「水」について考える。
ホルスタインは、原産地が夏季に冷涼なヨーロッパ北部のため、暑さにはめっぽう弱く、20℃を超えると採食量・乳量が低下してきます。釧路東部の気候でも牛は暑いのです。今月は、暑熱対策の1つ「水」ついて考えていきます。
1 飲水量と気温の関係
乳牛は、哺乳類の中で飲水量の最も多い動物です。乳量の3倍は水を飲みます。気温の影響も大きくうけ、13~15℃を超えてくると、飲水量が増えてきます(表1)。
表1 乳牛の飲水量と気温の関係
(平均気温0℃) | (平均気温25℃) | |
哺乳牛 (1ヶ月齢) ※ミルクとは別に必要な水量 |
1L |
4L |
育成牛 (1歳) |
27L |
28L |
泌乳牛 (乳量35kg/日、乳脂率3.8%) |
86L |
116L |
泌乳牛(乳量50kg/日、乳脂率3.8%) |
118L |
147L |
(日本飼養標準・乳牛(2017年版)より作成)
哺乳牛の飲水量は、気温による変動も大きいです。バケツなどで、常時自由に水を飲めるようにしておきましょう。
- ミルクのみでは水分は足りません。
- 水の給与が、スタータの採食量も高め、スムーズな離乳・成長につながります。
写真1 哺乳牛にも水を
写真2 夏の飲水量は25%増し
2 乳牛の飲水
- 1日に10~15回に分けて飲む
- 1回に4~7Lを一気に飲む
- 搾乳後と採食後に大量に飲む
⇒ この条件を整えることが飲水量の増加=乳量増加・健康の向上につながります。
3 対策
- 牛は匂いに敏感です。水槽・ウォーターカップの清掃は地味な作業ですが、飲水量の向上につながります(写真3)。
写真3 フリーストール牛舎のの水槽洗浄の前後
- 水槽・ウォーターカップの吐水量の目安は4~6L/20秒です。
- ウォーターカップの場合、水道口径を拡大していても、吸気弁・排気弁に不具合があると吐水量が減ります。出が悪くなった場合は確認しましょう(写真4)。
写真4 口径を太くした水道管に接続した吸気弁・排気弁の設置例
水分補給で熱中症を予防しましょう。
この情報は、2019年6~7月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発出したものです。