草地植生改善による乳牛の変化を見てみました!
標茶町A牧場では後継者が就農してから草地の自力更新に力を入れてきました。植生改善が乳牛にどのような変化を与えているのか確認したところ驚きの結果となりました。
1 取り組み内容
A牧場では次のことに取り組みました。
(1)植生調査に基づいた「自力更新」
(2)土壌分析に基づいた「施肥設計」
(3)肥料・石灰質資材の適期散布
図1 植生調査の結果から植生マップを作成
2 草地の牧草割合、サイレージ、乳牛の変化
植生改善により、牧草割合の高い草地が増え(図2)、サイレージ中のTDN割合も年々増えました(図3上)。
また、嗜好性の良いサイレージを給与したことで採食量も増え、栄養充足度が上がり、結果として分娩間隔の短縮および個体乳量の増加に繋がりました。(図3中下)
図2 2010年と2018年の植生ランクの変化
図3 TDN割合、分娩間隔、乳量の年次推移
3 植生改善に伴う課題と対策
<課題>
牧草はシバムギ等の雑草よりも水分が抜けにくいこと、マメ科の増加に伴うサイレージの高水分対策が必要となった。
<対策>
収穫調製時のギ酸添加
→ 強制的に原料草のpHを下げて高水分が原因の不良発酵を起きにくくします。
<課題>
栄養(CP、TDN)濃度向上による乾乳牛への栄養過剰・ミネラルバランス見直しの必要性。
<対策>
乾乳牛の配合飼料の量を減らし、圧ペンコーンおよびCa、Mgの給与量を増やす。
↓
乾乳牛に給与する粗飼料のCPが高いため、濃厚飼料の給与量を変えてCP濃度を下げ分娩後の周産期疾病発症リスクが下がるようにしました。
Aさんは草地の評価が色分けされた植生マップを利用して更新計画を立て、今後も良質粗飼料作りを目指しています。
まずはほ場を歩いてみて牧草がどれくらいあるか見てみましょう。
(令和2年3月本所作成)
この情報は、2020年4月に本所が地域の農業者向けに発出したものです。