9,000本はダメ? 飼料用とうもろこしの栽植密度に注意!
昨年度、普及センターでは標茶町久著呂にて「サイレージ用とうもろこしの栽植密度試験」を行いました。
栽植本数を減らすことによって、耐倒伏性を向上させるねらいです。今回はその試験結果を報告します。
近隣町村で実証された効果
過去の普及センターの試験では、鶴居村・白糠町で、次の4つの効果が証明されました。
(1)着穂位置が下がる(図1)
図1 着穂位置
(2)根張りが良くなる(図2)
図2 根張りの違い
(3)個体乾物率が上がる
(4)TDN収量は7千本でもほとんど変わらない(10アール当たり7千本と8千本を比較)(図3)
図3 TDN収量4年間の比較(鶴居村)
これらの効果を標茶町でも実証し、波及につなげようと今回の試験に取り組みました。
(引用:平成30年、釧路農業改良普及センター中西部支所「農業新技術発表会」資料より)
標茶町でも、栽植本数を下げることで、耐倒伏性に効果あり
試験では、10アール当たりの播種密度を7,400本区(試験)と8,200本区(慣行)に設定し生育・収量を比較しました。
その結果、7,400本区は8,200本区に比べ、草丈と着穂位置が低くなることが分かりました(図4)。
図4 着穂位置と草丈の比較
これらが低いほど個体は倒伏しにくくなると考えられます。
さらに、倒伏・収量に影響する根元近くの茎の太さを計測したところ、7,400本区の方が茎径は太くなることが分かりました(図5)。
図5 根元茎径の比較
10アール当たり8千本を目安に播種を!
栽植本数を下げることによる耐倒伏性への効果が実証された一方で、乾物収量はやや減収となりました。
しかし、同一圃場で設定本数を超えた8,600本区を調査したところ、7,400本区と同様の減収が見られました(図6)。
過密な栽植本数は、耐倒伏性に加えて収量も低下することが分かりました。
図6 乾物収量の比較
今回の試験結果から、耐倒伏性・収量性を総合的に判断すると、釧路北部での最適栽植密度は10アールあたり8,000本程度ではないかと考えられます。
是非参考にしてみてください。
(令和2年4月作成)
この情報は、2020年5月に本所が地域の農業者向けに発出したものです。