繁殖管理事例調査
普及センターの調査研究で「繁殖成績を改善する取組」について、現地事例調査を行った結果について紹介します。
調査対象として、授精師など関係機関が見る「繁殖成績が良い農場」・「繁殖に力を入れている農場」で、乳検加入農場を紹介してもらい釧路管内6農場を調査しました。
1 調査農場の概要
2 繁殖成績と各農場の取組
(調査時乳検成績から)
◆A農場
繁殖記録と個体管理の徹底により、平均受精回数1.2回、初回授精受胎率60%となっている。
◆B農場
低受胎牛や治療牛に対しビタミン投与を行い、高乳量牛群で平均受精回数2.0回となっている。
◆C農場
多頭数飼育ながら、発情発見補助器具に頼らず、個体毎の発情発見を中心に牛の観察を重要視している。
◆D農場
手作りで繁殖管理盤を作成し、誰が見ても判るように繁殖管理の情報共有により効率化を図り、分娩間隔399日と なっている。
◆E農場
自家授精に取り組み、適期授精を実践し、平均分娩間隔393日となってる。
◆F農場
観察による徹底した発情発見を実践し、導入している発情発見補助器具はあくまで補助的に使用し、分娩間隔393 日、平均授精回数1.8回となっている。
3 アンケート調査から抜粋
Q 発情発見時間をとっているか。
3農場で時間を決めて発情発見を行っている。
Q 1日何回発情発見の観察を行っているか。
1回2農場、2回1農場、3回以上2農場、特に回数は決めていない1農場となっている。
Q 発情発見の判断は。
「粘液・挙動・乳量低下」3農場、更に「スタンディング・マウンティング」の確認を3農場で行っている。
Q 牛の観察で工夫していること。
「前回発情・授精月日」「排血日」を確認し、発情予定牛として観察する。
Q 妊娠鑑定方法は。
「PAG検査」1農場、「直検」2農場、「PAG検査+直検」1農場、「エコー+直検」2農場となっている。
4 共通の傾向
・繁殖成績の改善は、経営を良くすることと捉え、改善に意欲的である。
・繁殖管理の基本である記録、情報の共有を行っている。
・牛をしっかり観察している、もしくは観察しようと努力している。
・発情発見補助器具を導入しても、それだけに頼らず、あくまでも自分の目で牛を観察することを大事にしている。
・補助器具を導入するも、「省力化」、「精度を高めるため」など目的が明確である。
5 最後に
この課題は継続して取り組む予定となっています。結果がまとまったら情報提供していきたいと思っています。
(令和2年4月作成)
この情報は、2020年5月に釧路中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。