草地更新する際はサブソイラで耕盤層を破砕しよう
近年、浜中町でも短時間に多くの雨が降る傾向が出てきています(図1、写真1)。
牧草地は、長年栽培していると土が硬くなり、透水性(水はけ)が低下します。草地更新は、これを解消する機会ですが、プラウでの耕起のみでは土を軟らかくできる深さに限界があります。より深い地点まで軟らかくするには、サブソイラの施工が有効です。
今回、浜中町内での調査を踏まえ、草地更新時のサブソイラ施工の有効性をまとめました。
今夏、草地更新をする際は、是非、サブソイラの施工もご検討ください。
図1 5~10月に1日の雨量が30mm以上になった日数
写真1 滞水した牧草地 前日の雨量42.0mm/日(令和元年9月24日撮影)
1 浜中町の土の硬さの実態
今年5月に、浜中町内の経年草地の土壌硬度を計測しました(写真2)。
写真2 土壌硬度の計測(令和2年5月8日撮影)
その結果、深さ約30cmと約50cmの地点で、急に硬くなることがわかりました(図2)。
図2 浜中町の経年草地 深さ別土壌硬度
1つめに硬くなる深さ約30cmの地点は、施肥・収穫など機械による踏圧や放牧牛の踏圧によるものと思われます。
2つめに硬くなる約50cmの地点は、プラウの耕起深(30cm程度)より深い地点で、これまでの更新時でも耕起されることなく、機械・家畜の踏圧が蓄積したものと考えられます。これが、いわゆる“耕盤層”と言われるものです。
2 草地更新時は耕盤層破砕をしましょう~サブソイラ施工の必要性~
土が硬化すると、透水性の悪化(水はけの不良)、根の伸長阻害を招き、多雨・干ばつ双方に弱い草地となってしまいます(図3)。
図3 サブソイラ施工(耕盤層破砕)の効果(イメージ)
プラウが届かない深さに形成されてしまった耕盤層を改善するためには、サブソイラで耕盤層を破砕しましょう。
3 サブソイラ施工の効果~浜中町内の事例から~
平成30年から普及センター東部支所では、同一ほ場内で更新時にサブソイラ施工区と無施工区を設置してサブソイラの施工効果の経年変化を調査しています。
更新後1年目の調査では、サブソイラ施工により、深さ50~60cmの範囲も無施工区より軟らかくなっていることがわかりました(図4)。また、その効果は更新2年後でも継続していることがわかりました(図5)。
図4 更新前と更新1年目の土の硬さ
図5更新2年目の土の硬さ
4 サブソイラ施工上の留意点
その1 もともと排水性が良かった、若しくは暗渠があるほ場を選びましょう。
耕盤層の下の層(心土層)の透水性が不良だと、耕盤層の下にも水がたまることになり、ほ場の乾燥が遅れることになります。
その2 既存の暗渠の深さに注意して
既存の暗渠を掘り上げないよう、深さに注意しましょう。
その3 暗渠にクロスして施工
ほ場の形状や傾斜が許せば、図6のように暗渠と垂直にクロスするようにサブソイラは施工しましょう。
そうすると、暗渠への排水効果が高まります。
次に回す予定の牧区に入ったとき、「草で長靴の甲が見えなくなる前」が目安です。
この情報は、2020年7月に厚岸郡浜中町の農業者向けに発出したものです。