肉用牛の飼養管理技術~現地事例調査~

肉用牛の飼養管理技術~現地事例調査~

 釧路管内における肉用牛の飼養頭数は年々増加しており(図1)、経営形態の多くは繁殖牛経営が主体となっています。

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図1 釧路管内の飼養頭数

 普及センターでは、昨年釧路管内及び日高管内の現地事例調査を実施しており、その結果について紹介します。

 

 

1 事例調査(釧路管内)

 

 

A農場【給水温管理】

 農場は、生後4~5日間親付後、人工哺育に移行しています。北海道のような寒冷地において、冬期の水温が低い時期は、飲水量の低下を招き、スターターや人工乳の摂取量が落ち込みやすくなります。
 そこでA農場ではスターターや人工乳摂取量が落ち込まないように、ヒーター付水槽を設置し(写真1)、水温を12~13℃に保つことで一定の飲水量を確保しています。

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写真1 ヒーター付き水槽

B農場【ちびちび哺乳】

 B農場では、10ヶ月齢未満・300kg以上での素牛出荷を目指しており、ちびちび哺乳による早期増体を実践しています。
 ちびちび哺乳とは、1リットルを5分以上かけて哺乳することを指します。ゆっくりと飲ませるため、バケツによる哺乳は行わず、哺乳瓶による哺乳を行います。労力は増えますが、次のようなメリットがあります。

(1)誤えん防止となり、肺炎の減少につながる。
(2)消化酵素が上手く働き、消化不良が減る。
(3)満腹感が向上し、リラックスに繋がる。

 注意点としては、ニップルに切れ込み細工等をせず、ニップルの穴が広がってきたらこまめに交換することが重要です。

3 事例調査(日高管内)

C農場【繁殖管理】

 C農場は繁殖雌牛が平成25年は50頭でしたが、自家繁殖に注目し、その後さらに50頭の増頭となりました。
 繁殖牛の管理はホワイトボードを使用し(写真2)、妊期や分娩予定日、産次等をマグネットに記載、牛舎ごとに管理していました。また授精後35日頃の牛を目処にエコー検診を行い、全頭の妊娠鑑定を実施しています。

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写真2 繁殖管理 

D農場【衛生管理の徹底】

 D農場では、農場HACCP手法に基づく衛生管理を実施していました。
 疾病対策として、育成舎飼槽側の土足禁止や(写真3)、全ての牛舎入り口に踏込消毒槽の設置、外部の来場者には防護衣又は牧場側が用意した白衣・長靴着用の徹底などを行っていました。 

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写真3 土足禁止エリアの設置

3 最後に

 農場によって取組方法は様々です。興味のある方は、普及センターまでご相談ください。

(令和2年6月作成)

この情報は、2020年6月に釧路中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。

 

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