農場HACCPについて

農場HACCPについて

家畜伝染病の発生予防・まん延防止だけではなく、畜産物の安全確保の観点から適正な衛生管理が重要です。
今回は、農場HACCPの概要について解説していきます。 

 

 

HACCPって何?

 

 

 HACCP(図1)はアメリカで宇宙食などの食品安全性を確保する方法として開発され、現在では国際的な衛生管理基準となっています。

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  図1 略語解説

 HACCPによる衛生管理手法は、最終製品の抜き取り検査に加え原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、
(ア)あらかじめ危害要因(微生物、化学物質、異物など)を予測
(イ)その危害要因を防止するための管理ポイントを設定
(ウ)そのポイントを継続的に監視、記録
を行うことで食品の安全性を向上させる取組です(図2)。 

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 図2 HACCPの考え方(農水省HP)

農場HACCPについて

 農林水産省では農場HACCPの導入を推進しています。畜産農場にHACCPの考え方を取り入れ、家畜の所有者自らがチェックリストを設定し、記録し、生産農場段階での危害要因をコントロールする飼養衛生管理手法です(図3)。農場HACCPの導入に関しては、その必須事項や消費者への透明性確保の観点から、『畜産農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HACCP認証基準)』が平成21年に公表されました。この基準を基に、認証機関が認証を行っています。
 これに取り組む理由としては、
(ア)農場が原因となる危害要因(出荷乳から抗生物質の検出や注射針の残留など)を管理できる
(イ)無駄な衛生コストを抑えつつ、最適な衛生状態を作り出せる
(ウ)衛生水準の高い農場として取引先にアピールできる
などがあげられます。

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 図3 具体的な取組内容(農水省HP)

農場HACCPの効果

 農場HACCPは農場規模にかかわらず、畜産物の安全性を継続的に向上させるほか、
(ア)記録の整備により、衛生的な問題の発生時に原因追及が容易になり、関係者からの信頼性が向上
(イ)農場で働く人全体の衛生意識や責任感が向上
(ウ)事故率低下で、生産性が向上
などの効果も期待できます。

 

最後に

 農場HACCPの導入は認証を受けることが目的ではなく、衛生管理の向上や畜産物の安全性を確保することが目的となります。例えば、「生乳生産管理チェックシート(ポジティブリスト)」の記帳を徹底することもHACCP的手法の1つといえ、導入への第一歩となります。
 家族経営の小規模農場でも取り組むことができますので、興味のある方は、普及センターまでご相談ください。 

(令和2年9月作成)

この情報は、2020年11月に釧路中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。

 

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