今年の牧草の品質とこれからの飼料給与
今年の1~2番草の成分の傾向と給与上の留意点をまとめましたので、参考にして下さい。
1 1番草の栄養成分の傾向
収穫時期毎の栄養成分の傾向は、過去2カ年と同様でした。ただし、収穫の過半が7月と平年より半月ほど遅れているので、収穫時には栄養価が低下していたと考えられます(図1.2)。
図1 収穫時期とTDNの推移(1番草生草)
図2 収穫時期とCPの推移(1番草生草)
2 2番草の栄養成分の傾向
CP(粗蛋白質)の平均値は過去4カ年のなかでは高めですが、サンプル毎のバラツキは過去4か年で最大になっています(図3)。繊維の一種であるNDF(中性デタージェント繊維)も同様にバラツキが大きくなっています(図4)。
図3 年次別CPの分布(2番草生草)
図4 年次別NDFの分布(2番草生草)
【データ】各年とも釧路東部管内の飼料分析機関のデータを集計
3 これからの飼料給与
(1) 粗飼料分析を実施しよう
1番草の収穫遅延により、1番草、2番草ともに予想していた栄養価と異なる恐れがあります。粗飼料分析をして栄養価を確認しましょう。
(2) 貯蔵・開封後の変敗を防ごう
原料草の栄養価の低下は、サイレージ発酵の主役になる乳酸菌にとっても栄養源の不足につながり、良質な発酵の妨げになります。サイレージの変敗が進まないよう、「重石(タイヤ)は隙間なく置く。」「取り出し断面は“ボソボソ”にしない」など、開封後にサイレージが極力空気に触れないようにしましょう(写真1.2)。
写真1 空気の侵入を防ぐスタックサイロ
写真2 理想的なサイレージの取り出しない
(3) 給与上の留意点(対応例)
その1 次に開封するサイレージ(サイロ)が、今の給与しているサイレージより水分が高い場合
- サイレージ切り替えは、3~7日掛け徐々に行い、牛の状態を確認する。
- 生重給与量を多くする。
- 乾草など水分の低い草を併給する。
→ 乾物摂取量の維持・確保
その2 繊維(NDFやADFなど)が高くなった場合
◎ 繊維は消化が遅いので、採食量が下がる傾向にあります。
- 消化の早い粗飼料の併給
- ビートパルプの給与
→ 消化速度のアップ=乾物摂取量の維持・確保
1年で最も日が短い時期です。日没後の機械操縦に気をつけましょう。
この情報は、2020年12月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発出したものです。