令和2年産1番グラスサイレージの栄養価と対策
令和2年産サイレージの給与が開始されています。
開封されたサイレージの分析値から令和2年産の傾向を予測してみます。
出穂期は平年並み、6~7月の降雨で収穫に遅れ
過去4年間の牧草の生育状況は表1の通りであり、令和2年度は、6月中旬から7月上旬の連続した降雨により、特にロール体系の収穫調製が遅れました。
表1 牧草の生育状況
さらに生草分析の結果では、栄養価が例年に比べ早い時期から急変しており、適期収穫した場合でも、低栄養で食い込みにくい牧草だと推察されました。
釧路管内R2年産サイレージの栄養価
令和1年度の分析値と比較すると、TDNや飼料中の総繊維(OCW)のうち、消化されやすい繊維(Oa)の割合を表すOa/OCWは低く、NDFも高い傾向であることから(表2、図1)、令和1年度よりも栄養価が低いサイレージであることが考えられます。
表2 サイレージ栄養価(平均)
この結果は、JAだより令和2年10月号に記載した生草分析とも類似した結果となりました。
サイレージ分析結果に基づいた給与を
R2年度産のサイレージは、栄養価が低いものが多い傾向となりました。
サイレージ分析を行うことで、分析結果から不足する栄養分とその量を把握する、また給与時にはサイレージの食い込み量を確認しながら、
(1)配合飼料や単味飼料など、不足する栄養分を補填する飼料の増給
(2)給餌回数の増加
など、乳量低下や栄養不足に備えた対策を行いましょう。
図1 サイレージ栄養価ごとの割合(TDN、Oa/OCW) *ホクレン分析データ
(令和3年1月作成)
この情報は、2021年2月に本所が地域の農業者向けに発出するものです。