サイレージ調製のポイント

サイレージ調製のポイント

まもなく1番牧草の収穫時期。「良いサイレージ」をどうやって作ろうか思案していると思います。
今回はサイレージの発酵過程と調製における注意点について考えてみましょう。

1 サイロの中では段階を追って発酵が進んでいる

表1に「サイレージの発酵過程」を載せました。第1段階で植物体の呼吸と好気性菌(酸素を必要とする微生物)が活動し、第2段階で酸素が無くなり嫌気性菌が増殖、第3段階で乳酸発酵が盛んになり、その後第4段階で安定化します。
その中で、第1段階では呼吸や好気性菌により糖を分解してしまうので、できるだけ素早く酸素を無くすことが重要です。
第2段階以降では乳酸菌以外の菌、特に不良発酵の原因となる酪酸菌の増殖を抑えることが重要となります。

表1 サイレージの発酵過程

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2.サイレージ発酵を成功させるための注意点

(1)調製時サイロ内の空気を排除

早く酸素を無くし乳酸菌発酵に移行させるためには、サイロ内の空気を減らすことが重要です。そのための注意点は「十分でこまめな踏圧」「原料草を短く、きれいに裁断」、ラップサイレージでは「水分調整」「均一な整形」が挙げられます。

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写真1 十分でこまめな踏圧作業

(2)早期密封・表面をいじらない

サイロ表面が空気に触れることもスムーズな発酵を妨げます。「調製後は早期密封」「被覆資材が浮かないように重し等で対応」ラップサイレージでは「ラップの巻き方」や「発酵途中で運搬しない」などの注意が必要です。

(3)土砂や枯れ草を入れない

酪酸菌は土砂や枯れ草、家畜糞尿などに付着しています。これらをサイロに持ち込まないよう、注意が必要です。
サイロについては「事前に清掃する」「運搬車のタイヤの土砂を入れない」。原料草については「堆肥スラリー散布を早めに実施」「収穫時の高刈り」が挙げられます。

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写真2 サイロの事前清掃

(4)原料草の水分調整(またはギ酸添加)

乳酸菌の活躍には糖が必要です。水分率を下げることで、現物中の糖割合が高まります。その目標は水分70%以下です。
しかし、予乾が困難な場合、ギ酸添加による強制的な酸性化(pH4.2以下)という選択肢もあります。乳酸菌活躍の有無にかかわらず酪酸菌増殖を抑制する効果があります。

3 おわりに

収穫時期の気象条件もあり、予乾が難しい、適期内収穫が大変といった、条件が厳しい私たちの地域ですが、今回挙げた「サイレージ発酵を成功させるための注意点」を加味して作業を進められるよう希望します。

(令和3年5月作成)

 

この情報は、2021年6月に中西部支所が地域の農業者向けに発出するものです。

 

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