肥料散布早期化で収量up!
今回は収量upのための春の肥料散布についてまとめました。
1 収量は有穂茎数で決まる
チモシーの年間収量に占める1番草割合は70~80%と言われています。これは1番草に有穂茎が多いことに由来します。
当地域では土壌凍結の影響などで施肥時期が延び、1番草割合は60%程度です(図1)。
有穂茎は穂を支えるために茎が太く丈夫に育つので1茎重が無穂茎の6~7倍になります。
チモシーでは1番草乾物収量の90%以上を有穂茎が占めます。したがって、年間収量を増やすには有穂茎数を増やす管理が大切となります。
図1弟子屈町・標茶町の年間乾物収量割合
2 有穂茎数は施肥時期で決まる
越冬したイネ科牧草の茎が有穂茎となる要素は、萌芽期から幼穂形成期までに窒素を充分に吸収していることが影響しています(図2)。
有穂茎刈り取り後に分げつして再生するので(写真1)、有穂茎を多く保つことは牧草地を長持ちさせることにもつながります。有穂茎が増えるよう、トラクタで入れるようになったほ場から速やかに肥料散布を行いましょう。
図2施肥時期とチモシーの1番草収量、有穂茎数、全茎数の関係(松中、小関1985から作成)
写真1チモシーの分げつした有穂茎
3 萌芽期・土壌凍結の現状
表1に弟子屈町・標茶町の萌芽期の平均、表2に土壌凍結解凍の時期を示しました。凍結調査からは凍結解凍は地域・年によってばらつきがありますが、5月1日には全ての調査地点で凍結が抜けていることがわかりました。
表1地域の萌芽期
表2地域ごとの土壌凍結解消日
早春施肥は植生の維持、収量増加に繋がります。資材高騰が続く中、施用した肥料の効果を活かすためにもほ場にトラクタが入れる様になったら早急に施肥を行い、収量増加を目指しましょう。
この情報は2023年4月に地域(標茶町、釧路町および弟子屈町)の農業者向けに発出した技術情報です。