自分にとって安心できる街・釧路市で描き続けたい。
画家・伊藤さんの釧路暮らし
伊藤 麻衣さん
(釧路市出身/釧路市在住/Uターン)
ロマンチックな色使いのキャンバスの中、夢見るような表情の動物たちが描かれています。釧路市出身の画家である伊藤さんの絵は、やさしく淡い色使いで描かれる幻想的な作品ばかりです。「地元を離れ、東京で暮らしていたときの寂しさを絵を描くことで埋めてきた」と語ってくれた伊藤さん。釧路市に戻ってきてからどんな風に生活されているのかについて、お話ししていただきました。
- ・一旦、釧路市を離れて良さに気づいた
- ・素敵なお店や、お世話好きな人が多い釧路市
- ・安心して暮らせる環境
ー釧路市にUターンした経緯を教えてください。
中学生まで釧路市に住んでいたのですが、記念受験のつもりで受けた、函館の私立女子校に合格してしまいまして。自分でもよくわからないまま、その女子校に行きました。それからは、進学した大学も初めて就職した場所も東京。なので、私は比較的早い段階で釧路市を離れているんですね。
ただ、東京に来てからはずっと心のどこかに寂しさを感じていて。結婚したこともあり、東京には家族もいるし仕事もあるしということで、結局10年ほど住んでいました。ただ、2017年頃に「どうしても釧路市に帰りたい!」と思ってしまったんです。寂しさが爆発してしまったというか……。そこで家族に相談して協力してもらい、半ば勢いで釧路市に帰ってきたんです。
ー移住に関して、何か困ったことはありましたか??
勢いで帰ってきたことと、地元だったことで、あまり移住前の調査をしなかったのですが、急な引越しで子供たちの通える幼稚園が見つかるか、子供たちが釧路市に馴染めるかが一番気になっていました。
ですが、私の実家から歩いてすぐの一軒家を見つけ、子供たちも私自身が通っていた幼稚園にいれることができ、釧路市での生活を楽しんでくれているようでよかったです!
ー釧路市ではどんなお仕事をされているんですか?
絵画教室の先生、それから画家として活動しています。子供の頃から彫刻家の斉藤一明先生のもとで絵を習っていて、絵を描くことが好きだったんです。斉藤先生はいつでも「好きなように描いていいよ」と言ってくれて、技術を教えてくれるというより、楽しく自由に絵を描くことを教えてくれる先生でした。私も斉藤先生に教えてもらったことを大事にしていて、生徒にスキルを教え込むというより「生徒が何を描きたいか」ということを一緒に考え、好きな絵を描くお手伝いをしています。
画家としては、現在はくしろ地域を中心に個展を開いたり、原画販売もしています。
伊藤さんの作品。アクリルを使い、動物や恐竜などの絵を描いている
ーずっと絵を描くことがお好きだったんですか?
中学生の頃までは描いていたのですが、それからしばらく周りと比べてしまって描けない時期が続いたんです。20代半ば、憧れだったイラストレーターの中村佑介さんから、とあるきっかけで「僕はあなたの絵が好きです」とコメントをいただくことがあったんです!それからは自信と創作意欲を取り戻し、東京で個展を開いたりグループ展を企画しました。
東京に住んでいた頃はなんとなく寂しさを感じていたのですが、その寂しさを力に絵を描いていた気がします。
東京での個展の様子
ー釧路市に戻ってきてからの生活はいかがですか?
以前はこの街の良さがあまりわからなかったんです。遊ぶ場所や買い物できるお店がないと、少し不満にすら思っていました。
ですが、久しぶりに住んでみて、自分が気づかないだけで面白いところがたくさんあったんだなと思いました。昔からあるお店や景色の良さにも気づきましたし、自分が住んでいなかった15年近くの間に、素敵なお店や人が増えていたことを実感しています。
帰ってきてからは、自分が気になる場所に足を運んで、そこで出会った方々と知り合いになり、その人たちに紹介していただいた別のお店や人に出会って……ということが多いんですよ。
なぜかお世話好きの人が多いんですよね。知り合ったばかりのお店の方が声をかけてくれたり、お友達を紹介してくださったり。
そういう人たちに支えられながら、安心できる生活を送れているなあと思います。
ーこれから釧路市でやってみたいことはありますか?
私自身、幼少期に恩師である斉藤先生に「絵を描くことを楽しむ」という経験をさせていただきました。私も、自分の絵画教室を子どもたちがずっと絵を楽しんで描いてもらえるような居場所にしていきたいです。それから、地元の画家としても胸を張れるようになるように描き続けていきたいですね。またくしろ地域で個展も開きたいです!
ーこれから釧路市への移住を検討している方に、一言お願いします。
地元に帰ってきてから、なんだか安心して生活できている気がするんです。それは単に「地元に帰ってきたから」という理由だけではないと思っています。「地元だから」という贔屓目なしに、釧路市には素敵な場所や人がたくさん。私自身もそんな人たちに支えられているので、少しでも釧路市に興味がある人には、一度足を運んでいただきたいです。