サイレージを二次発酵から守る

気温が上がり、サイレージの二次発酵が気になる時期となりました。二次発酵による栄養成分の低下やカビ毒の発生は、乳牛の健康を損ない、乳量の低下や繁殖成績の悪化を引き起こします。夏場でも安定して良質サイレージを給与できるよう、二次発酵抑制のポイントを確認しましょう。

二次発酵の特徴

酪酸発酵と比べ、二次発酵には「空気を必要とする」「pH低下に強い」という特徴があります(表1)。原料草に付着する酵母やカビは、空気があることによって糖分や乳酸を分解し、増殖します。二次発酵防止の最大のポイントは「空気に触れさせない」ことです。

表1  酪酸発酵と二次発酵の特徴を示した表

表1 酪酸発酵と二次発酵の違い

取り出し時の対策

1 バケットでの取り出しは上から下へ

サイレージをトラクターのバケットで取り出す際は、下からすくい上げるように取ると、中まで空気が入りやすくなります。バケットの背を使って、上から削り落とすように取り出しましょう(図1)。

図1 サイレージを上から削り出している図

図1 サイレージの取り出し方

2 小さいサイロや細いサイロから使う

取り出し口の面積を小さくし、どんどん奥に取り進めて行く(サイロ1面を1日30cm以上が目安)ことも、二次発酵防止に有効です。夏場に小さいサイロを開ける、また、スタックの場合はあらかじめ細く作っておくと取り出し口からの空気の侵入を抑制することができます。

3 直射日光を避ける

取り出した面が長時間日光に当たると、二次発酵の進みが早くなります。取り出し口を北向きに向ける、シートで覆う等、できるだけ直射日光が当たらないような対策をしましょう(写真1)。

写真1 サイレージ取りだし後にシートをかけている写真

写真1 使用後はシートをかける

4 二次発酵抑制資材の散布

プロピオン酸をサイレージの取り出し口表面に散布することで二次発酵を軽減することができます。ただし、プロピオン酸は強い酸なので、希釈倍率等の使用方法は厳守しましょう。また、製造・販売を目的とする場合は、飼料安全法に基づいた申請が必要となります。

調製時に十分な鎮圧を

サイレージ調製時に十分な鎮圧をかけ空気を抜いておくことが、その後の二次発酵防止の重要なポイントとなります。原料草の水分調整をしっかり行い、接地圧の高い機械を使用して鎮圧を行いましょう。

飼料価格が高騰する中で、自給飼料生産はより重要性を増しています。不良発酵を防ぎ、良質な自給飼料を安定給与できるよう、サイレージ作りや給与体系を見直してみてはいかがでしょうか。

この情報は2022年7月に地域(標茶町、弟子屈町)の農業者向け発出した技術情報です。

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