GAPについて

GAPについて

2020オリンピック・パラリンピックを機に広まったGAP。「認証取得ってなんだか大変そうだし、GAPのメリットがわからない・・・」と、遠ざけていませんか?実は、認証を取得しなくても考え方を取り入れることは農場の運営に役に立ちます。今回は、GAPの取組について解説します。

GAPについて

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GAPは一般的に「農業生産工程管理」と呼ばれており、農業生産の各工程の実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動です。食品の安全性向上、環境の保全、労働安全の確保等に資するとともに、農業経営の改善や効率化につながる取組です。また、農業者が守るべき法律や規範等をまとめたものであり、食品安全、労働安全、環境保全、人権保護、農場経営管理の5分野(畜産ではアニマルウェルフェアも加えて6分野)について、「持続可能性を確保する」ために取り組むものでもあり、SDGsにも貢献できます。

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GAP導入のメリット

GAP導入のメリットは、農林水産省がJGAP(日本の標準的なGAP)認証取得経営体を対象にした調査によると、労働安全面の強化、整理整頓・無駄の解消、食品安全面の強化、家畜衛生面の強化が6割以上の農場で挙げられました。このことから、販売物の差別化に関わらず、全ての農場で取り組む価値があることがわかります。例えば「業務マニュアルを作成した結果、外国人が受け入れやすくなった」「暑熱対策の実施で乳量が増加した」「整理整頓で従業員のけががなくなった」などもGAPによるメリットになります。

GAPの実践

それでは早速実践方法を紹介します。まずは良い農場経営管理につながる取組項目を決め、チェックリストやマニュアルを作成します。

具体的な取組項目例

【衛生管理】

  • 農場、畜舎への関係者以外の出入りを制限
  • 農場内専用の長靴・服などを着用

【人権保護】

  • 適切な労働契約・管理
  • 労働者との意見交換
  • 研修生等の受入条件を遵守

【農場経営管理】

  • 部門別責任者を配置
  • 教育訓練や内部点検を実施
  • 従業員のためのマニュアルを作成

【環境保全】

  • 家畜排泄物を場内に野積みしない
  • 家畜排泄物を堆肥化し、農地へ還元

【アニマルウェルフェア】

  • 夏季の暑熱対策や冬季の寒冷対策を実施
  • 国際獣疫事務局の勧告に準拠した飼養管理指針に則した飼育

【労働安全】

  • 労働災害を未然に予防する注意表示を実施
  • 整理整頓(写真1)

意外と実践されている項目があったのではないでしょうか?チェックリストやマニュアルを作成した後は、これらの取組が実践できているのか農場内を点検し、課題や問題点が見つかれば、都度改善します。
実際、毎日実施することは整理整頓と、農作業の記録と管理が基本となります。

写真1 整頓されている哺育コーナー例.jpg

写真1_整理整頓も労働安全の一つ

最後に

毎日の点検作業で無駄を減らした分がしっかり利益に反映していくのが、GAPの醍醐味だと思います。
もし興味がある方は普及センターまでご相談ください!

この情報は2023年10月に地域(音別町、白糠町、鶴居村)の農業者向けに発出した技術情報です

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