体細胞数の上昇に注意を!

1. 体細胞数の季節傾向

 これから気温とともに飼養環境の湿度も上昇するので、不良細菌も活発に増殖し、乳房炎のリスクが高まります。体細胞数の年間動向で最も高いのは8月から9月ですが、上昇は5月から始まる傾向にあります(図1)。

釧路管内体細胞数

図1.平均体細胞数の年間動向(釧路管内) 北海道酪農検定検査協会牛群検定成績

 体細胞は、乳房炎の炎症で脱落した上皮細胞や白血球が生乳中に移行したものですが、 病的な炎症に至らなくても、給与飼料の品質やストレスで体細胞数が増加する場合があります。

2.現在の体細胞数動向の把握

 気温上昇による越冬粗飼料の劣化や湿度上昇による食欲減退など、採食量が抑制される条件が重なるので、ストレスが懸念されます。こまめな体細胞数の動向把握は重要です。
 短期間の動向は、旬報で確認しましょう。出荷牛の合乳ではありますが、1ヶ月に3回のデータが得られるので、問題の早期発見に活用できます。体細胞数の上昇があれば、PLテスターなどで治療が必要な牛を把握しましょう。

3.搾乳技術・衛生管理の検討

 これまでと変わらない管理でも乳房炎の発生につながることもあります。夏季に向かって乳房炎リスクが高くなるので搾乳の手順や衛生管理を見直してみましょう。
 問題が起きている部分を明確にするには、乳検の検定成績表(牛群)に示されている検定日乳量階層が手がかりになります。
 判断材料として、問題ある数値をマークします(図2)。

体細胞数の動態

図2.検定日乳量階層による問題点判断の例

 この例では初産で、泌乳後期に向かって体細胞数が増加しており、搾乳方法の問題・不適切な自動離脱設定など過搾乳の可能性が考えられます。2産以上の乳期中の体細胞数上下変動は、泌乳期の投薬治療の失敗などが考えられます。このように、対策のため問題を洗い出しましょう。

4.毎日しっかり食べさせる対策

 乳房炎コントロールを含め、牛の健康は、「充分な粗飼料の採食量」で成り立ちます。毎日しっかり食べさせることはエネルギーを確保し免疫力を保つ対策になります。
 採食量低下を回避するために、牛舎の換気は重要です。新鮮な空気を供給すると同時に、湿度上昇が抑えられます。
 そして、粗飼料の劣化部分の排除を確実に行いましょう。
 体細胞数のデータだけでなく、粗飼料採食量が十分であるか牛体観察からの確認は大切です。反すうの咀嚼回数は有効な判断材料で、一回の吐き戻しで50~60回が目安です。また、ボディコンディションの変化も情報源です。低下があれば、栄養管理の見直しが必要です。
 具体的対策は、普及センターにご相談下さい。

この情報は2024年5月に地域(標茶町 弟子屈町 釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。

カテゴリー

釧路農業改良普及センターのカテゴリ

お問い合わせ

釧路総合振興局産業振興部釧路農業改良普及センター

〒088-2313川上郡標茶町常盤8丁目5番地

電話:
015-485-2514
Fax:
015-485-2249
cc-by

page top