最終番草の刈り取り後、来年に向けて良質な粗飼料を生産するため、経年草地における秋の草地管理を紹介します。
〇石灰資材の散布
酸性化が進んだ土壌では、牧草の養分吸収効率が低下し、植生悪化が進行するため石灰資材の散布によりpHを改良、維持する必要があります。
炭カル施用量の目安を表1に示します。
土壌診断を行う際の土壌採取は、草地の最終番草刈り取り後、スラリーや堆肥を散布する前に行いましょう。
表1 炭カル施肥量の目安
〇ギシギシ類の防除
本葉が3~4枚展開し、手のひら大になった頃がギシギシ類に除草剤を散布するタイミングです(写真1)。
写真1 防除適期のギシギシ
秋処理に使用する薬剤例を表2に示します。新播草地での使用については普及センターにお問い合わせください。
表2 秋処理によるギシギシ類の防除例(最終番草刈り取り後)
〇通気性・透排水性の維持、改善
牧草の活発な生育を維持するためには、草地の表面に切れ目を入れること(エアレーション)による土壌の通気性維持が有効です。
機械走行が繰り返されることで固く締まったほ場には心土破砕を行うことで、通気性や透排水性が改善されます。心土破砕は、石の多いほ場を避けて施工しましょう。
注意点は、以下のとおりです。
①ほ場がめくれないよう、時速2~3km程度で走る
②施工時の深さは20~30㎝
③暗渠に対して垂直方向に施工する
写真2 エアレーションの専用機(リノベーター,JAしべちゃ貸出機)
写真3 サブソイラによる心土破砕の実施
この情報は2024年9月に地域(標茶町、弟子屈町、釧路町)の農業者向けに発出した技術情報です。