搾乳刺激、足りてますか?

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搾乳刺激、足りてますか?  

 

 

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酪農経営において、搾乳作業は、生乳生産の最後の工程です。ここで泌乳生理に合った搾乳を行うことが、生産性を上げる重要なポイントです。
 今回は、搾乳刺激に焦点を当てて、泌乳生理について考えてみたいと思います。

 

なぜ搾乳刺激が大切なの? 

 搾乳刺激により、刺激が脳下垂体に伝達されることで、オキシトシンというホルモンが分泌されます(図1)。

 

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図1 オキシトシン放出の仕組み
(北海道農業入門畜産編より) 

 
 オキシトシンは、乳房内の乳腺胞を収縮させることで、ミルカーの吸引力では吸い出せない乳汁を乳腺胞から降下させます(図2)。 
 

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図2 オキシトシンの作用(イメージ)
(南根室地区農業改良普及センター平成12年営農改善資料より) 

 
 搾乳刺激によって搾ることができる生乳は約6割も占めており、オキシトシンの効率的な利用を意識した搾乳刺激を行うことが重要です。 
 
オキシトシンを効果的に使うためのポイント 

【搾乳刺激】
 ・前搾りは強めに5回以上。
 ・乳頭清拭もしっかり強めに。(特に乳頭口を念入りに)
【ミルカー装着】
 ・乳房および乳頭が張ってから装着する(目安は乳頭刺激から90~180秒後)。 

 
【事例】搾乳刺激の改善による作業の効率化  
 釧路市のA農場において、搾乳作業の自己点検として、ラクトコーダーを用いた搾乳立会を行いました。
 ラクトコーダーとは、ミルククローとミルクラインの間に設置するミルクメーターです(写真1)。 これにより、ユニット装着のタイミングや装着時間、総乳量、最大流速、体細胞の流入などがわかります。総合的にデータを見ることで、搾乳作業の善し悪しを評価します。
 

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写真1 ラクトコーダー 

 
改善前
 搾乳立会の結果、前搾り回数は2~3回であり、作業者によって強さもバラバラであることがわかりました。オキシトシンが上手く利用できていないためか、搾乳時間は約6分半(目標5分以内)で、最大乳量も平均 3.7 kg/分(目標 4.5 kg/分)となっていました(表1)。 
 

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表1 改善取組の結果

 

【改善後】
 前搾りの回数を5回以上、搾乳刺激を強めにしたところ、平均搾乳時間が5分20秒、最大乳量も 4.0 kg/分と改善されました(表1)。

 

 この結果は、乳頭刺激の強化により、オキシトシンを効率的に利用した搾乳ができたためと推察されます。
 また、農業者からは「搾乳頭数が増えても搾乳時間は変わらなかった」との声があり、改善取組により労働の効率化を図ることもできました。

 第1歩として自分の農場の搾乳刺激方法について、考えてみて下さい。 

 

 

 

 

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