乳質を向上させるポイント |
1 生乳の品質管理 |
体細胞数や生菌が多いと体細胞数の高い牛は、実乳量の低下、乳房炎による生乳廃棄、搾乳作業の効率が低下するなど、最終段階で乳質乳価制度の格付けのランクが下がることとなり、経営にマイナスになることにつながります(表1)。 |
表1 体細胞数の増加に伴う乳量の損失(kg/日) |
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なにが体細胞数を高めるのか、乳房炎の原因となるのか、を把握することは、一見容易に思われますが、その要因は多様で、根本となる原因を特定できずに改善成果がさほど上がらない場合が多いのではないでしょうか。 |
2 乳房炎発生要因の把握 |
発生要因を把握するポイントは主に次の二つです。 (1) 農場データの分析 (2) 現場の状況把握 原因菌の種類、牛群の感染程度の把握と、乳牛、環境、搾乳システム、搾乳方法の現状評価によって改善対策の内容は、具体化されます(表2)。 |
表2 乳房炎原因菌の侵入経路とその特徴 |
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3 正しい洗浄法で生菌数を低減させる |
生菌数を 1万/mL 以下に低く押さえるには、次の項目を再チェックしましょう。 (1)洗剤を正しく計量(自動洗浄の場合は、洗剤量を確認する)。 (2)洗剤の役割を正しく理解する。洗浄不良となりやすい部分(クローなど)やバスケットミルカーは分解手洗浄する。 (3)殺菌剤は正しい濃度に希釈する(6%溶液で300倍)。 (4)殺菌液との接触時間は3分以上。 (5)洗浄温度は60~80℃、排水時で40℃以上あるか。 (6)ミルクフィルターを毎日交換する。 (7)排水口コック部分は、毎回分解洗浄。 (8)密閉式バルククーラーの内部を覗いてみる(マンホールのパッキン、撹拌機、タンクの底、排水口などの汚れがないか)。 (9)ミルクフィルターは毎回交換。 (10)自記温度計の確認を。 以上の点に留意し、生菌数 1万/mL以下を持続させましょう。 |
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