ケトーシスの芽を早めに摘みとろう
ケトーシスってどんな病気?
三大周期疾病の一つに挙げられる疾病で、特に分娩後から泌乳初期に多く見られます。
エネルギー不足を補うため、体脂肪から変化した遊離脂肪酸(NEFA)を肝臓で処理する過程で生じた、「ケトン体」が蓄積することで発症します。
傾向として、乾乳期に過度な太り方をしている牛は、分娩後に急激に削痩し、食欲も減退して、高い確率でケトーシスを発症します。
泌乳期でも劣質サイレージを気付かずに給与した場合に、摂取した酪酸により、体内でケトン体が増加することで発症することもあります。
プロピレングリコール製剤やブドウ糖などのエネルギーとなる糖源を投与することで治癒しますが、発見が遅れて重篤化すると、第四胃変位を引き起こしたり、回復予後に長期不受胎になる事例も多く見られます。
ケトーシスの主な症状
- 乳量低下
泌乳初期の立ち上がりが鈍い。
- 牛体削痩
被毛が粗くなり、牛体にツヤが無くなる。 - 食欲減退
配合飼料への嗜好性が薄れ、、乾草などを好むようになる。
ケトンフィルムを用いたケトーシスの早期判定
分娩直後、または症状が疑われる段階で、ケトンフィルム(商品名「サンケトペーパー」)を用いて簡便に検査することが可能で、早めの対応を打つことで重篤化を防ぐことができます。
BHBから判断するケトーシスの早期判定
乳検に加入されている方は、乳検情報に乳中ケトン体であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)の値を活用して判定することができます。BHBの値が0.13ミリモル/リットル以上であれば、ケトーシスの疑いがあり、早期対応する必要があります(乳検速報の中では※(コメ)印が付加されます)。
ケトーシスを予防するための飼養管理
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乾乳時の過肥が大きく影響します。太りすぎないよう泌乳後期からボディコンディションの調整を行いましょう。
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分娩直後のエサは、乾乳メニューからいきなり変更したり、増給しないで、段階を追ってゆっくり増給を。
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乾乳牛はなるべく無繋留による管理が望ましいです。
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不良発酵したサイレージの給与を避けます。