乳房炎にご注意を2~乳頭の衛生管理~
道内のとある地域で搾乳立会の結果を数値化した取り組みを紹介します。
取り組み内容
14戸の搾乳立会を実施し、調査する20項目を点数化しました。見る人による違いを減らすため大雑把な配点としました。
優良農家の特徴
14農場中体細胞数が10万未満の優良農家の特徴は次のとおりです。
搾乳手法は、決して良いわけではありませんでした。
搾乳立会調査から
搾乳立会を実施した14戸の点数を管理項目別に体細胞数が低い農家と高い農家で比較しました(表1)。
すると、「飼養管理(粗飼料)」と「衛生管理」で差が大きくなりました。「搾乳手法」については、差が小さい結果でした。
牛体の汚れと体細胞数
D牧場で牛体の汚れと乳検体細胞数を調査したところ、牛体のきれいな牛は体細胞数が低い傾向でした(図1)。
ライナースリップは危険
ライナースリップが起こると、陰圧が下がって、瞬間的に乳汁の逆流が起こります。その逆流に合わせて、乳頭口付近の細菌が一緒に乳頭内に侵入します(図2)。特に搾乳後半の乳汁が勢いよく出ていないときの逆流は、細菌を押し出せないため致命傷です。
乳頭口の清拭が甘い場合どうなるかは容易に想像できます。
実証
「乳頭・乳頭口の清拭を徹底すれば、体細胞数を削減できる」と仮説を立てて、乳質改善に取り組んだところ、実施した4戸とも体細胞数を削減することができました。(下表参照、体細胞数は立会前後6ヵ月平均値)