雑草発生に応じた適切な除草剤処理で、収量向上をねらいましょう
近年、釧路管内のとうもろこしの栽培面積は増加傾向にあります。栄養収量は年によりばらついており、その要因として強風による倒伏、病害発生、天候不良、雑草の繁茂があげられます。その中から、今回は雑草防除について考えます。
コントラクタによる除草剤散布の課題
釧路管内X町は、とうもろこし作付ほ場の89%が除草剤の散布作業を委託しており、土壌処理のみは、約半数(53%)を占めています(表1)。 コントラ(作業委託)による除草剤散布は、受託する面積が多いため作業が集中します。
そのため、 (1)土壌、気象条件に合わせた散布 (2)除草剤の適用時期内での散布が困難になっています。
表1 X町における除草剤散布の委託状況
モデル農場4戸の実証ほ
そこで昨年、普及センターでは4戸のモデル農場において、除草剤の散布試験を実施しました(表2)。4戸のうち、2戸は土壌処理を、2戸は茎葉処理のみを行い、雑草繁茂状況や収量を確認しました。
土壌処理を行った2戸のうち、A農場では、雑草発生が確認されたため、さらに茎葉処理を行いました。
その結果、全戸で除草効果が確認され、そのうち3戸は栄養収量が向上しました。残りの1戸も雑草繁茂による乾物収量減を解消できました。
モデル農場からは「気象条件の厳しい中、予想以上の収量が穫れ、質も良かった。除草剤による防除が要因の一つだと思う。」との声がありました。
表2 モデル農場の除草体系と栄養収量
実証ほの結果より
実証ほの結果から、茎葉処理の有効性が確認できました(写真1、2)。
これにより状況に応じ、作業が集中する土壌処理から一部を茎葉処理に散布方法を転換することで、コントラの作業分散につながる可能性も示唆されました。また、茎葉処理は、土壌処理を行った場合でも、雑草発生状況により、追加することで、確実な雑草処理が可能です。
写真1 慣行区(7月27日 Y農場)
写真2 茎葉散布区(7月27日 Y農場)
この情報は、2019年4月に中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。