牛床掃除、水、エサ寄せの重要性
「収穫した粗飼料をいかに牛乳に変えるか」を考えていきましょう。今回は、「牛の乾物摂取量」のこと、特に日頃の牛舎作業の意味と重要性について記載します。
乾物摂取量に影響するもの
まずは飼料が、乾物摂取量に影響している要素を紹介します。
粗飼料の品質
センイ含量が高く、切断長が長いと、牛の第一胃のpH安定に寄与しますが、消化スピードが遅くなるため乾物摂取量を低下させます。今年の一番草生草分析値では、センイ含量の高いものも散見されたので、注意が必要です。またサイレージの場合、水分含有率や発酵品質によっても低下します。
正しい飼料組み合わせ
栄養濃度が高すぎる飼料の給与は、牛のルーメンの恒常性を保てず採食量が低下します。ある成分が高すぎるような栄養バランスが悪い場合は改善が必要です。
食べられる環境作りに大切なこと
ここからが本題です。牛は飼養環境、飲み水や飼槽などに「清潔さ」を求めます。そこに不快感をおぼえると、食欲が減退し乾物摂取量が低下します。
また、水や飼料が欲しいときに飲食できるかといった「自由」を求めます。制限されると、乾物摂取量の低下につながります。
「牛床清掃」の大切さ
牛が体を休め、横たえる場所の清潔さが保たれないことは、「長時間不快感にさらされる」ということで、食欲減退の最大の原因にもなります。また、滑りやすい牛床は、「起立・横臥」という行動を制限しエサを採食する「自由」も奪います。
十分な敷料や環境衛生資材を使って、清潔さと滑りづらい状況を保ちましょう。
写真1 足もとを中心に牛床清掃
「飲み水」の大切さ
飲み水が制限されると、乾物摂取量が低下します。
ウォーターカップや水槽の吐水量や水が不潔なことも問題です。
吐水量をまず改善した上で、週一回以上は清掃することをお勧めします。
写真2 ウォーターカップも洗浄
「エサ寄せ」の大切さ
牛は給餌したばかりのエサを押してしまいます。そのエサはあまり牛の口がついていないので、ある意味「新鮮で清潔」。これを寄せてやることで再び食い始めます。
また、牛はエサが届かないと採食をあきらめてしまいます。フリーストールでは、弱い牛はタイミングを見計らって飼槽に来るので、なおさら深刻です。
エサ寄せは、給餌の30分後など、牛の動きを見ながら、「エサを食べようとしている」時間を確認し、毎日同じような時間に実施することをお勧めします。
また、清潔さを保つうえでも一日一回の飼槽掃除もお忘れなく。
写真3 時間を決めてエサ寄せ
終わりに
経営主だけでなく、家族や従業員の皆さんが作業の意義を理解して取り組むことが大切です。是非、皆さんで取り組んでみてください。
(令和2年8月作成)
この情報は、2020年9月に釧路中西部支所が地域の農業者向けに発出したものです。