令和2年産サイレージの栄養価について
今回は粗飼料分析値の結果から、令和2年産サイレージの栄養価について考えてみたいと思います。
1 栄養価について
分析値を見る前に、まずは主要な栄養価についておさらいしてみましょう。
CP(粗蛋白質)
・タンパク質含量のこと
・マメ科牧草、早刈り、2・3番草で高くなる
NDF(中性デタージェント繊維)
・刈り遅れるほど高くなり、高いほど乾物摂取量が低下する
TDN(可消化養分総量)
・消化されて利用されるエネルギーのこと
・牧草では刈り遅れるほど低下する
2 粗飼料分析値について
それでは令和2年度の釧路管内の粗飼料分析値についてです。牧草はサイレージ分析値、飼料用とうもろこしは生草分析値からの傾向です。
(1)1番草
中西部管内の1番草の収穫作業は平年より4日早く、平年並みに終了しています。
しかし、乾物率約29%、CP約10%、NDF約70%、TDN約55%と昨年よりも低栄養で繊維質でした(表1)。これは5月中旬の低温により生育が停滞し、その後の高温で老化が早まったと推察されます。
表1 令和2年産粗飼料分析結果(データ提供:ホクレン釧路支所)
(2)2番草
中西部管内の2番草の収穫作業は平年より9日早まりましたが、平年並みに終了しています。
乾物率約24%、CP約13%、NDF約60%、TDN約62%と昨年よりもTDNが低下しました。これは8月の好天により始めは生育と収穫が順調に進みましたが、8月下旬の雨で収穫が停滞したことが影響していると推察されます。
(3)飼料用とうもろこし
中西部管内の飼料用とうもろこしは8月の好天により黄熟期が7日早まり、台風の影響も無く、順調に収穫ができました。
その結果、デンプン率が昨年よりも非常に高く、今年のコーンは期待ができそうです(図1)。
図1 コーンサイレージのデンプン率(データ提供:ホクレン釧路支所)
3 令和2年産粗飼料給与について
まずは粗飼料分析を行い栄養価を確認してください。サイロが進むと分析値も変化するので、再度分析を行うか、乳成分、牛の食い込み等から給与量を調整してください。
もし刈り遅れてしまい、高NDFの粗飼料を給与する場合は、サイレージの給与量を減らしてビートパルプなど消化性の良い繊維を給与したり、嗜好性の高い糖蜜を併給して選び食いを防止するなどの対応が必要です。
4 最後に
すでに令和2年度産のサイレージを給与されている方も多いと思いますが、牛の反応はどうでしょうか。
分析値から粗飼料の善し悪しを判断することも大切ですが、これまでの農協便りでもご紹介した「エサ寄せ」や「水槽掃除」などで、食い込ませる工夫も行ってみてはどうでしょうか。
(令和2年10月作成)
この情報は、2020年12月に釧路中西部支所が地域の農業者向けに発出するものです。