初産分娩月齢の短縮を目指そう

初産分娩月齢の短縮を目指そう

育成牛は分娩して乳生産することで、農場に利益をもたらします。そのため、初産分娩月齢が遅れると、飼料費が増え余計な労力もかかります。
酪農経営安定のためにも、初産分娩月齢を短縮する飼養管理について確認しましょう。

1 授精開始の目安

育成牛の授精を開始する際は、次の3点の順に確認して授精を行いましょう。

(1)周期的な発情が来ているか

出生後初めての発情は概ね8~10ヵ月齢で来ます。また、発情周期は経産牛より短い傾向があります。
しっかり発情周期を確認しましょう。

(2)体格が授精基準に達しているか

一般的な授精開始基準は体高125cm、体重350kg程度が目標とされています。
体重の確認は難しいですが、体高は安易に確認できます。確認して授精を行いましょう(写真)。
体格が基準を満たしていない場合の早期授精は、分娩事故につながるので控えましょう。

pic1.JPG

写真 柱に目印を付け、発育を確認

(3)目標とする初産分娩月齢に対する授精月齢であるか

24ヵ月齢分娩を目指す場合、15ヵ月齢で受胎している必要があります。仮に、平均授精回数が1.5回だとすると、14ヵ月齢から授精を開始する必要があります。
目標とする初産分娩月齢を決めて、授精を行いましょう。

2 3ヵ月齢からの栄養管理

日増体量0.8~0.9kg設定の飼料給与が出来れば、体格は14ヵ月齢で授精基準に達します。各時期の給与飼料の目安は表1の通りです。

表1 給与飼料の目安

hyou1.jpg 
どの時期も、良質な粗飼料をしっかり食い込ませ、育成配合飼料2~3kg当たっていれば、目安の栄養は満たします。
しかし、3ヵ月齢から6ヵ月齢までに過肥にすると、乳腺に脂肪が付着する要因となるので注意が必要です。
飼料設計をしてみたい方は、お気軽に普及センターまでご連絡ください。

3 理想的な飼養環境

エサを食い込ませるためには、「食べられる環境」を作ることが重要です。

掃除

飼槽や給水器はこまめに掃除し、常に新鮮なものがあたるように意識しましょう。
飼槽は、頻繁にエサの掃き寄せを行いましょう。

寝床面積

育成牛の飼養施設は農場によって様々ですが、過密や敷料不足での飼養は横臥時間を十分確保できなかったり、牛体の汚れにつながります。
フリーバーン牛舎の場合、一頭あたりの寝床面積にも注意しましょう(表2)。

表2 1頭あたりの寝床面積

hyou2.jpg 

群分け

授精適期の育成牛をまとめた群を作ることで、発情発見がしやすくなり、適期授精につながります。また、スタンディング行動が観察しやすいパドックなど、運動できる場所の確保も重要です。

4 最後に

育成牛は農場の今後を担う大切な存在です。毎日観察し、初産分娩月齢の短縮を目指しましょう。

(令和3年3月作成)

 

この情報は、2021年5月に中西部支所が地域の農業者向けに発出するものです。

 

釧路農業改良普及センタートップページ技術情報のページ  

カテゴリー

釧路農業改良普及センターのカテゴリ

cc-by

page top