「ハエ対策」について

ハエ対策について

酪農場には様々な有害昆虫がいます。中でも生産者を困らせる害虫の一つに「ハエ」が挙げられます。
ハエは牛に対して不快感やストレスを与え、乳量や増体率に悪影響を及ぼします。また吸血性のハエは、乳房炎や牛白血病などの疾病を媒介し、生産性の低下をもたらします。

1 ハエの分類  

 

酪農場で見られる有害なハエを、加害様式で分類すると吸血性(刺咬性)と非吸血性(非刺咬性)に分けられ、今回はサシバエとイエバエについて紹介します。(写真1)

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写真1 左:サシバエ 右:イエバエ

 (1)サシバエ

サシバエは吸血性の昆虫で、雌雄共に吸血を行います。北海道では6月上旬から10月頃まで成虫が発生し、特に晩夏から秋が発生のピークとなります。幼虫はおもに、堆肥舎や放牧地の牛糞上に生息し、成虫になると牛舎や放牧地の牛に寄生します。また休息時は、近隣の雑草で過ごすこともあります。

(2)イエバエ

イエバエは非吸血性で、牛に集まるハエは、ほとんどが雌と言われています。発生時期はサシバエと同様に6月上旬から成虫が発生し、あらゆる場所に生息します。

2 ハエ対策

 

ハエ駆除の対象として重要なのは、成虫よりも数的割合が高い卵や幼虫になります(図1)。
卵や幼虫対策を行い、最後に成虫対策をすることで密度を抑えることができます。
具体的な方法は次の通りです。

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図1 早い駆除が重要 

 

卵・幼虫対策

(1)堆肥の適切な切り返し
堆肥の発酵熱が50℃以上で、幼虫の致死率が高くなります。適度に切り返しを行いましょう。

(2)清潔な状態の維持
ハエは蓄積された糞や飼料残渣などに産卵します。水槽廻りや敷料下層部、処理室は特に清掃をしましょう。

(3)殺虫剤散布(IGR剤)
IGR剤は幼虫の発育を阻害する殺虫剤で、粒や顆粒状の製品が多いです。成虫への効果は期待できないので、ハエのライフサイクルに合わせて、幼虫が発生する時期に使用しましょう。

 

成虫対策

(1)粘着シートの設置
ハエ取り用粘着シートを牛舎と外部との境界部分や飼槽付近に設置しましょう。地上高1m以内への設置が効果的です。

(2)牛舎周辺の草刈り
前述のように、サシバエは草むらで休息することから、周辺の雑草を刈ることが重要です。

(3)殺虫剤散布(成虫用)
ハエの成虫は有機リンや合成ピレスロイドと呼ばれる系統の殺虫剤が効果的です。牛体散布の可否や休薬期間を必ず確認し、薬剤に添付されている用量・用法を守って使用しましょう。
近年では殺虫剤散布を業者に委託し、ジェット煙霧機で散布する方もいます(写真2)。

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写真2 ジェット煙霧機 

3 さいごに

ハエ対策は成虫が見える前の春先から予防的に対策することが重要です。
 疑問があれば普及センターまでお問い合わせ下さい。

(令和3年5月作成)

この情報は、2021年7月に中西部支所が地域の農業者向けに発出するものです。

 

 

 

 

 

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