「飲水」の重要性を考える
水は乳牛(成牛)の体重の50~80%を占めており、飼料の消化・吸収、体温調節等に
重要な役割を果たしています。水は、ふん尿への排せつ、発汗、泌乳等によって体内
より消失しますので、水分摂取によって補わなければなりません。
今月は、乳牛の「飲水」について考えていきます。
※この情報は、令和3年8月に厚岸郡(厚岸町・浜中町)の農業者向けに発出したも
のです。
(1) 飲水量と気温の関係
乳牛は哺乳類の中で飲水量が最も多く、乳量の3倍もの水を飲みます。飲水量には
気温が大きく影響します(表1)。
特にほ乳牛と泌乳牛は変動が大きく、泌乳牛は最低気温が0から25℃に上昇すると、
飲水量が25%上昇するとの報告もあります。
また、ほ乳牛に飲水させることは、スタータの採食量を高めスムーズな離乳・発育に
有効です。バケツなどで、いつでも新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。
表1 乳牛の飲水量と気温の関係
(2) 乳牛の飲水 3つの特徴
1 1日に10~15回に分けて飲む
2 1回に4~7Lを一気に飲む
3 搾乳後と採食後に大量に飲む
これらが可能となるように飼養環境を整えることが、飲水量の増加=乳量増加・健康
向上につながります。
写真2 ほ乳牛にも水を
写真3 夏の飲水量は25%増し
(3) 飲水のための対策
● 牛は匂いに敏感です。水槽・ウォーターカップの清掃は地味な作業ですが、
飲水量の向上に有効です(写真3)
● 水槽・ウォーターカップの吐水量の目安は4~6L/20秒です
● ウォーターカップの場合。水道管の口径を大きくしていても、吸気弁・排気弁
に不具合があると吐水量が減ります。出が悪くなった場合は確認しましょう(写真4)
写真3 フリーストール方式牛舎の水槽、清掃前(左)と後(右)
写真4 (設置例)口径を太くした水道管に接続した吸気弁・排気弁