令和3年度産の牧草収量・品質を検証する
チモシーの生育状況と生草分析結果から、一番牧草の品質を検証しました。
出穂期は平年並みだが、高温少雨のため収量は低下
令和3年の牧草生育および収穫時期の特徴は次の通りです。
(1)例年と比較し融雪期が早かったため、萌芽期は平年より4日早い4月16日。その後も順調に生育し、出穂期は6月16日となった。
(2)6月から7月は晴れの日が続き、収穫作業は順調に進んだが、高温少雨の影響により1番草の収量は令和2年度に比べ、低下。CPが低い傾向であった。
牧草の粗蛋白質(CP)は低い傾向
標茶町と弟子屈町の生草分析結果から令和3年度の一番草サイレージは、繊維成分を表すNDFは低く、TDN(可消化養分総量)は高いと推測され(図1、2)、乾物摂取量の増加が期待できます。
しかし高温の影響か、CPは低い傾向であることが分かりました(図3)。
図1_年度別CPの変化
図2_年度別NDFの変化
図3_年度別CPの変化
今年度は低CPへの対策が重要
CPが不足すると、ルーメン微生物の生成数減少や、代謝蛋白質の低下、ルーメン発酵が抑制されます。これによりエネルギー不足や乳量の低下、繁殖機能が低下する可能性があります。
このCP不足による具体的な対策を検討するためにも、サイレージ分析を実施し、実際の栄養成分を確認することが重要です。
もし分析の結果、サイレージのCPが低い場合は、乳量やMUN、乳脂肪、乳蛋白質等の数値の変化を牛群検定やバルク乳成分で確認しながら、飼料設計の見直しを検討し、繁殖機能や乳量の低下に備えましょう。
(令和3年9月本所作成)
この情報は令和3年10月に本所が地域の農業者に発出したものです。