本格的な冬の季節となりました。人と同様に子牛も冬支度を行っていきましょう。
子牛に冷気を当てない
子牛は成牛に比べ皮下脂肪が少なく、寒さに弱いです(表1)。
下限 | 上限 | |
---|---|---|
子牛 | 13℃ | 26℃ |
育成牛 | -5℃ | 26℃ |
乾乳牛 | -14℃ | 25℃ |
乳量ピーク 泌乳牛 | -25℃ | 25℃ |
人が肌寒い程度の寒さでも、子牛はそれ以上に寒さを感じています。
すきま風を直接あてない場所での飼育、子牛用の防寒ベストやネックウォーマー、電熱ヒーターの利用、たっぷりの敷料(夏場の1.5倍から2倍量)を敷くことで体温が奪われるのを防げます。またゴムマットや発泡断熱フォーム等の利用は、コンクリートに比べ熱が伝わりにくいため効果の高い寒冷対策です。
床に敷く断熱材等を利用する場合は尿溜りができないよう、緩傾斜をつけるか穴開け加工が必要です。天井の高い牛舎等にペンを集積している場合は、ペンの上にベニヤ板等の天板を載せることも保温に有効です(写真1)。
(写真1)シートを利用した保温対策(酪農試験場 堂腰)
哺乳量の増給
哺育牛や育成牛は、気温の低下に伴い体温維持に必要なエネルギー要求量が増加します(表2)。
本格的に冷え込む前に、徐々に代用乳の増給をして慣らし、厳寒期には夏場より給与量を2割程度
体重 | 維持成長 | 5℃ | 0℃ | -5℃ |
---|---|---|---|---|
55kg | 4,685 | 4,957(106%) | 5,228(112%) | 5,500(117%) |
60kg | 5,195 | 5,195(106%) | 5,485(112%) | 5,774(118%) |
1日800g増体の場合に必要なエネルギー(kcal/日)
*()内は維持成長カロリーとの比率
冬季でも新鮮な空気を
舎内でいくら寒冷対策をしていても、空気が澱み、アンモニア臭が漂う環境の方が子牛に与える影響は大きいです。アンモニアは子牛の気管にダメージを与え、呼吸器系疾病の原因にもなります。
冬季には外の冷気を防ぐため舎内を閉め切る時間が長くなります。換気のため、短時間でも少し扉を開けておく、こまめな敷料交換を行う等、アンモニアを減らす事が重要です。
冬期に誕生した子牛を、下痢や肺炎を招くことなく成長させるために、寒冷対策を充分に行い、元気な育成牛を育てましょう。
この情報は2021年12月に本所が地域の農業者に発出したものです。