クミカンを活用した経営分析

 12月は、何かと多忙な月ですが、一年間の経営成果の反省および次年度の営農計画を樹立するための大切な時期です。今年一年の経営状況を把握し、去年に比べてどうだったか、計画に比べてどうだったか等を分析し、我が家の経営の優れている点や弱点を知ることは、次年度以降の安定した経営に結びつきます。     

1経営数字を読みやすくする

(1)時系列に数字の推移をみる。

 3~5年分のクミカン(12月31日時点)の数字を並べて比較する。

(2)前年比などの比率、割合に置き換える。

クミカンでは常に前年比、計画比が分かる。

(3)百分比にする

売上高を100とした各費用の割合等(表1)。

表1A農場とB農場の売上高に占める費用の比較

A農場(単位:万円)
売上費用売上高に占める割合
売上高5,000飼料費1,20024%
肥料費2004%
修理費1002%
B農場(単位:万円)
売上費用売上高に占める割合
売上高3,000飼料費1,20040%
肥料費2007%
修理費2007%

 B農場では売上高(生乳生産量)に対して飼料費が多くなっている傾向がわかります。

(4)構成比にする。

費用計を100とした各費目の割合等(表2)

表2C農場とD農場の費用の内訳

C農場(単位:万円)
費用合計3,500内訳費用に占める割合
飼料費1,20034%
肥料費2006%
修理費2006%
D農場(単位:万円)
費用合計3,000内訳費用に占める割合
飼料費1,20040%
肥料費1003%
修理費2007%

D農場では修理費がやや高くなっていることがわかります。

(5)経産牛1頭あたりの収益、乳飼比等を計算する。

経産牛1頭当たり販売額

農業収入÷経産牛頭数=    円

乳飼比

(飼料費÷乳代)×100=    %
 乳飼比が高い場合、多くは給与飼料のバランスが悪いなど、エサ代の割に生産がのびていない場合い多いようです。飼料設計、粗飼料の品質、収穫方法の見直しを行ってみて下さい。

牛乳の販売単価

乳代÷出荷乳量(12~1月)=    円/kg

2要因の分析をおこなう

 これらの数字を使って要因を分析します。売上がなぜ増減したのか、費用がどうして増減したのかを的確に把握できれば次年度以降の計画も立てやすくなります。例えば、売上高に関しては「疾病等が多く、搾乳牛頭数が前年よりも減少した」、「乳成分が低く、乳価が低下した」、「前年の牧草収穫時期が遅れてサイレージの品質が良くなかった」「育成牛の繁殖成績が悪く初産牛が減り、牛群の改良が遅れた」「収益が共済金の収入で増加した」等を分析します。
 費用では、「必要以上の飼料を給与している(自給粗飼料との組み合わせが好ましくない)」、「所有機械の老朽化により年々修理費が多くなる」、「どの草地でも同じ銘柄の化学肥料を同じ量だけ使用しており見直しにより肥料費の節約が可能」、「家畜糞尿の施用量分を化成肥料で減肥していない」等がわかります。
前年度の実績だけでは計画数値の根拠とならない項目もあります。クミカン報告書をもう一度見直して今年の反省と次年度の計画をしっかり立て安定した経営を心がけましょう。

「ヒヤリ」「ハッと」を感じた、その作業は安全性の見直しが必要です!

この情報は、2021年12月に厚岸郡(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出したものです。

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