寒い季節でも子牛が元気に過すために必要なポイントを押さえて、冬を乗り切りましょう。
3週齢まではミルクが大事
子牛の栄養源は、ミルク、スターター、乾草などです。しかし、3週齢までは、ミルクが主な栄養源となっており、その給与量と飲める環境づくりに気を配ることが重要です。
冬季はミルクの量の検討を
子牛は成牛よりも寒さに弱く、環境温度15℃以下から、エネルギー要求量が増加します。表1は3週齢までの環境温度別のエネルギー要求量増加率(%)を示しています。
表1 3週齢までの環境温度別エネルギー要求量増加率
例えば、環境温度0℃の場合、エネルギー要求量は環境温度が20℃の時よりも54%も多く必要となります。つまり、通常の1日の哺乳量が4Lでは同じ濃度の場合、約1.5倍量の6Lの給与が必要になります。
冬季のミルク給与の要点
冬季のミルクの給与量や飲める環境づくりの要点を紹介します。
【哺乳・給餌編】
(1)ミルクの増給
北海道立酪農試験場の研究ではミルクを多給することで、子牛の増体が改善したという結果が出ています(図1)。
図1 代用乳給与量別の日増体量の違い
ただし、急激に多給せず、子牛の様子を見ながら、徐々に増やすことをおすすめします。
(2)ミルクの温度
低温のミルクは子牛の下痢の原因になるため、給与時に38℃以下にならないよう注意します。
また、給与する人や日によってミルクの温度が大きく変化することも子牛のストレスになるため、給与するミルクの温度を一定にしましょう。
(3)水の代わりにぬるま湯を給与
【管理・施設編】
(1)敷料は乾いた状態を維持
敷料はなるべく乾燥状態を維持し、通常よりたくさん敷料を入れると保温効果が高まります。
(2)熱が逃げないような工夫
環境温度が下がるとエネルギーがより必要になるので、温度管理も重要です。隙間を塞ぐなど、温かい空気が逃げない工夫をすることで保温性を高めましょう(写真1)。ただし、入り口を半分以上塞ぐと換気が悪くなるため注意が必要です。
写真1 廃材を活用し保温効果アップ
最後に
子牛は様々な変化に敏感で、健康状態がすぐに悪化しやすいため、こまめな観察を心掛け、冬支度を試してみてはどうでしょうか。
(令和3年10月作成)
この情報は令和3年12月に釧路中西部支所が地域の農業者に向けて発出したものです。