昨年末から令和3年産サイレージの給与が開始されています。令和3年の気象を加味し、ホクレン粗飼料分析データから、傾向を見ていきましょう。
牧草に適した降雨と気温の年!
令和3年は春から十分な降雨があり気温も高く牧草は緩やかに生長、出穂始めも6月13日と平年並で令和2年のように繊維の硬化が早くありませんでした。
6月下旬から好天が続き、収穫作業も順調に進み、7月上旬には9割程度収穫が終わっていました(図1)。
図1令和3年の気温と降水量の経過(アメダス標茶)
釧路管内令和3年産1番草サイレージの分析結果
発酵品質
不良発酵防止の目安をpH4.3未満とすると、サイレージサンプル230点の内pH4.3以上が3割と不良発酵の可能性がありました(図2)。水分率が高いと、pHも上がる傾向があるため、サイレージ調製時に乳酸発酵に適した牧草水分まで予乾する必要があります。
図2サイレージpHと水分率(%)
予乾ができない場合は添加剤をご検討ください。
栄養価
令和2年産と比較すると、エネルギー(TDN)やタンパク質(CP)が令和3年産は高く、飼料中の繊維含量(NDF)が低いことから、令和2年産よりも栄養成分では優れているといえます(図3)。
図3サイレージ栄養価(乾物中%)(サンプル数=R3_230 R2_127)
カルシウム
乾物中のカルシウム含量がリン酸より低く(390点中126点)、植物の体を作るのに必要なカルシウムが土壌中にも少ないことが推測されました。
粗飼料分析を行い発酵品質確認しましょう!
令和3年産サイレージ給与の対応としてサイレージの粗飼料分析を行い、栄養成分や発酵品質を確認しましょう。
- 酪酸発酵サイレージの場合、給与を制限し他の粗飼料やビートパルプなどを給与しましょう。
- 栄養分が低い場合、バルク乳中のMUNや乳タンパクを参考に飼料給与を見直しましょう。
草地土壌への石灰資材の投入もご検討ください!