春は植生改善のチャンス!~放牧地の追播~

春は、越冬後の枯死の状況や草の密度といった草地状況を確認できる時期です。
牧草割合が少なくなってきた放牧地や裸地が目立つ放牧地の追播を考えてみてはどうでしょう。

追播する牧草の特徴と品種の選び方

ペレニアルライグラス(PR)(写真1)

ペレニアルライグラスは、嗜好性・栄養価が高く、年間の生育に偏りが少なく放牧向きの草種です。
他のイネ科牧草と比べると越冬性(耐寒性・雪腐小粒菌核病)が劣るので、雪腐小粒菌核病耐病性が高い品種を選びましょう。

写真1 ペレニアルライグラス

オーチャードグラス(OG)(写真2)

再生力・競合力が強い草種です。萌芽や伸長も早いので春の放牧開始が遅れてしまうと伸長しすぎで嗜好性が落ちたり、他の草種の再生を抑制してしまいます。放牧密度が高い牧場や春の放牧開始が早い牧場におすすめです。チモシーと比べると越冬性はやや劣るので秋のは種は避けましょう。早生や中生品種の中から越冬性の高い品種を選びましょう。

写真2 オーチャードグラス

シロクローバ(WC)(写真3)

嗜好性・栄養価が高く、ほふく茎により裸地を埋めることができる草種です。白クローバの品種は葉の大きさにより分けられます。
葉が小さいものは低く育ち、大きいものは高く育ちます。短草利用の放牧地では小葉型を、中程度の草丈での利用・兼用地では中葉型の品種を選びましょう。

写真3 白クローバ

追播の方法

時期 

は種時期は既存の草種との競合に負けないため、放牧前(4月下旬~5月上旬)や掃除刈り後など草丈が短い時期が良いです(図1)。

図1 放牧地の追播種スケジュール

は種量

イネ科牧草の場合、1~2kg/10a、マメ科牧草の場合、0.3kg/10aを目安にしましょう。

施肥

既存の草種の生育を抑え、は種した草種の生育を促進するため、窒素やカリの施肥は抑え、初期の細胞分裂を促進するため、リン酸の施肥を行いましょう。

施工方法

放牧地の追播に使用する機械はハーバーマットやシードマチックといった畑を切りながら播種するものを選びましょう(写真4)。
密度が濃い放牧地では、ブロキャスなどでは、種子が土まで届かずうまく発芽できません。追播時は、溝がしっかり切れているか、種子が溝に落ちて土に付着しているか確認しましょう(写真5)

写真4 ハーバーマット

写真5 切れた溝と種子

畑作業に向け、機械の点検・整備をしましょう。

この情報は、2022年3月に厚岸郡(浜中町・厚岸町)の農業者向けに発出したものです。

カテゴリー

釧路農業改良普及センターのカテゴリ

お問い合わせ

釧路総合振興局産業振興部釧路農業改良普及センター釧路東部支所

〒088-1365厚岸郡浜中町茶内橋北東31番地

電話:
0153-65-2021
cc-by

page top