①春の牧草への施肥は「萌芽期」が効果的
地域での酪農経営の上で最も重要な飼料となるチモシー1番草の収量は、早春の施肥量・施肥時期によって変わります。施肥時期は牧草の「萌芽期」頃が最も効果的で、遅れに伴い収量は減少する傾向にあります。
(図1 早春の施肥時期が1番草収量、全茎数、有穂茎数に及ぼす影響「チモシーを基幹とする採草地の効率的窒素施肥法」昭和62年北海道農業試験場指導参考事項)
一方、早すぎる施肥では、牧草の活動が始まっていないため、吸収されない分が流亡し、効果的ではありません。また、踏圧により草地を傷める危険もあるため推奨されません。
ちなみに、1番草収穫後の、2番草への施肥時期はチモシーの場合、刈り取り後5~10日前後の独立再生長始期が効果的です。
図1 早春施肥時期と収量等の関係
②衛星測位システム(GNSS)機器の活用
作業を効果的にするためにはGNSS機器の活用が有効です。ブロードキャスターによる肥料散布では、「播きむら」の発生が心配されますが、GNSS活用により、重複部分を最小限にすることができます。また、悪天候等により、ほ場の途中で作業を中止しても、正確にその中止位置から再開することができるので、わずかな気象適時を有効活用することで全体の作業適期を逃すことなく、作業を進めていくことができます。
③炭カル散布によるpH維持は肥料効率を高めます。
土壌のpHを適正値に維持する目的のひとつは、肥料効率を高めることにあります。現在流通している炭カルはほぼ国産であり、供給も安定しています。積極的に散布しpHを維持することを検討しましょう。
最近の地域の粗飼料分析値からはカルシウム不足が懸念されます。まずは土壌分析を定期的に(3年に1回程度)行い、土壌のpHを確認しましょう。
牧草地のpH基準値(維持管理)は5.5~6.5です。
(「北海道施肥ガイド2020」北海道農政部)
この情報は本所が令和4年(2022年)4月に地域(標茶町、弟子屈町、釧路町)の農業者に発信したものです。