農作業安全と事故ゼロに向けて~「ヒヤリ・ハット」を活かし対策を~

“運良く“”幸いなことに“大きな事故や怪我に至らず「ヒヤリとした」、または「ハッとした」だけで済んだ経験や事例のことを、農業現場のみならず、各業界において「ヒヤリ・ハット」と呼び、今後も発生しうるリスクと位置づけ、安全対策に役立てているものです。

企業や法人等における労働災害では、どんな災害や事故が発生しうるか、概ね想定がなされ、これに対し従業員研修や徹底した安全対策、防止システム等によって万全の対策がとられています。これらの対策は労働安全衛生法で定められ、労災保険の加入が義務化されています。

一方で個人経営では、経営主が万が一の時には、最悪経営存続が危ぶまれることになりかねないため、義務化されていませんが、労災保険の加入が望まれます。

畜産地帯は特に多い!

産業別に見た労働災害死亡事故は「農業」が建設業等に比べても、年々漸増傾向で発生しており、突出して多い状況です(図1)。

作業従事者10万人当たり死亡者数の推移は建設業が下がっているのに対し、農業は上がり続けていることを示す図

図1農業従事者10万人当たり死亡者数の推移(農水省)

農業では、「畜産」はその中でも最も多いのが実態です(図2)。他の作目に比べ、トラクタ等の農業機械を用いた作業や、家畜による打撲、骨折等が多いのが現状です。

道内の農業従事者1,000人当たり事故者数は酪農畜産地帯で多いことを示す図

図2道内の農業従事者1,000人当たり事故者数の推移(農水省)

家族への行先伝達と緊急時対応

「畜産」では、搾乳を除くと、一人で作業をする場面が多いため、万が一の時に、助けを呼べなかったり、発見が手遅れになることも一因と推測されます。

家族や従業員全員に対し、あらかじめ行先の畑やスケジュールを家族に伝えるとともに、緊急時に備え、エンジンの停止方法を周知しておくことが重要です。

家族や従業員間でリスクの共有化を

家族経営体では、作業全般におけるリスクを認識する場が少ないと考えられます。そこで、個人で経験した「ヒヤリ・ハット」を、家族内や従業員間で共有する場を設けることが必要です。

「こんなことが起こるかもしれない」といった危険予測能力は、「ヒヤリ・ハット」の経験者と未経験者では大きな差があります。農作業事故の詳細な情報にも接する機会もあまりないことから、両者の間で周知、共有化を図ることが特に重要です。

ヒヤリ・ハットの例

油断大敵、作業慣れ!

「ヒヤリ・ハット」や受傷事故の発生の多くは、慣例作業の慣れによる「これぐらいなら」「ほんの少し動かすだけだから」「面倒くさいから」といった油断や、注意を向ける対象のハードルを下げたことが大きな要因と考えられます。

繁忙期に向けて、より一層の注意を

これから牧草収穫等、繁忙期を迎えるにあたり、より一層注意を向けていただきたいと思います。

この情報は令和4年(2022年)5月に地域(標茶町、弟子屈町、釧路町)の農業者に発信したものです。

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