子牛の疾病対策をしましょう!
生産資材の高騰の状況下で所得の確保のためには、経費の見直しと収入の増加が必要です。子牛の飼養管理の改善から、経営改善に取り組みませんか?
普及センターで、釧路管内の複数農家のNOSAI診療データを集計したところ、1~5日齢の子牛の腸炎や肺炎も多く見られ、分娩場所や不衛生な初乳からすでに病原菌を摂取していることが考えられました(表1)。対策方法を2つ記載しました。
表1 腸炎および肺炎における初診時生後日数ごとの頭数(頭)
① 哺乳器具の洗浄
長く使用したボトルには、細かい傷の中にミルクの洗い残しが蓄積します。搾乳機器と同じようにアルカリ洗剤で洗浄し、乾燥させることで清潔を保てます(写真1)。汚れのひどいものは思い切って新品に更新しましょう。
写真1 乾燥棚でしっかり水切り
② 初乳の給与
初乳は出生後できれば6時間以内に3ℓ以上、飲めるだけ給与を行い、十分な抗体と栄養を摂取させましょう。
寒くなる前に子牛の飼養環境の改善を行いましょう
① 代用乳の増給
気温の低下に伴い子牛の体温維持に必要なエネルギー要求量は増加します(表2)。給与量を増やす場合1日2回の給与では飲みきれない可能性があるため、給与回数を増やす、または希釈濃度を濃くする、エネルギーの高い代用乳に変更するなどの工夫が必要となります。
表2 寒冷による出生から3週齢までの維持エネルギー要求量の増加
② 換気
秋は昼夜の寒暖差が大きくなり、牛舎の窓の締め切りも多くなる時期ですが、日中の太陽が出ている時間は窓を開放しましょう。ただし、牛に直接風が(秒速0.3m以上)当てないために、風よけを設置したり(写真2)、扉や壁からのすきま風を無くすことが必要です。
写真2 ハッチ上部に風よけのコンパネ設置
③ 防寒対策
子牛のお腹を冷やさないように敷料をたっぷり(夏場の1.5~2倍)入れ、ベストを着せて防寒しましょう。
この情報は2022年9月に地域(標茶町、釧路町、弟子屈町)の農業者向けに発出した技術情報です。