今こそ酪農経営マネジメント

1.酪農経営と経営環境

酪農経営を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。経営者は変化の中で、経営の効率化と経営目標の達成について考えなくてはなりません。
今回はそのマネジメントについて一緒に検討したいと思います。

2. 経営規模に見合った事業規模か

効率の良い事業規模

経営規模(施設・土地面積・労働力など)に対して、効率の良い事業規模(生乳生産・個体販売・後継牛育成等、生産活動の総量)というものがあります。
現在の事業規模が小さい場合、生産量を増やした時に総費用の増加が緩く、規模の効果で収益が出ます。逆に事業規模が大きすぎる場合、生産量を減らした時の総費用の減少幅が大きく、収入を減少させてもかえって収益が上がります(図1)。

図1 生産量と費用の関係

事業規模の見直し

投資額や労賃が多い経営では、固定費割合が大きくなり、施設や労働力を十分活用できる事業規模まで拡大することが重要です。
一方で投資額や労働力が少ない経営では事業規模縮小によって効率が上がる可能性もあります。個体乳量、繁殖成績、自給飼料の単位収量を減らさない前提で、短期的に乳牛の選抜淘汰、メリハリある草地・飼料畑管理を試みて、事業規模の調整を行ってみてはどうでしょうか。

3. 現在の経営資源は収益に反映できているか

酪農経営における経営資源として、土地・施設・牛・機械・労働力などが、挙げられます。これらがどれだけ収益に結びついているかを確認する必要があります。
年間や月間の収入や費用を、例えば牛舎1㎡当たり、経産牛1頭あたり、トラクタ1台あたり、労働者1人当たりなどで割り返してみてください(図2)。そうすることで経営資源に対し「満足な収益が得られているか」「費用のかけ方が多いか少ないか」が見えてきます。
結果から、経営資源の活かし方を検討しましょう。

図2 経営資源と収入・費用の割り算

4. 経営目標に近づけているか

長期計画で経営の目的・目標と、実現への筋道を示し、「中期計画(5年)」、「短期計画(1年:営農計画)」で実現に向けた動きを示していると思います。短期的な計画の見直しを行う場合、中期・長期計画もチェックすることで、目標実現の筋道を見失うことはありません(図3)。
経営環境の変化に対して、場当たり的な計画変更は避けましょう。

図3 経営計画の策定

5. おわりに

これまでも経営環境が変化する中で、適応して生き残ってきました。
現在の経営環境に対しても、冷静に自らの経営を見つめ、計画を見直してみてはいかがでしょうか。

(令和4年9月作成:釧路中西部支所管内のJAだより向けに執筆したものです)

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